なんと「脱衣ゲーム」まで存在した!? 懐かしくて奥が深い「電子ゲーム」の世界
公開日:2018/8/10
読者諸氏が「ゲーム」と聞いて思い浮かぶのは何だろうか。若者なら「ソーシャルゲーム」かもしれないし、上の年代なら「花札」とか「麻雀」かもしれない。そのどちらでもない私はといえば、いろいろあるのだが実は一番思い出深いものは「電子ゲーム」だと思っている。おそらく「何ソレ?」という人がほとんどだろうが、そういうジャンルのゲームが流行した時期があったのである。『懐かしの電子ゲーム大博覧会』(山崎功/主婦の友社)は、この「電子ゲーム」がどういうものか、どんなものがあったかなどを写真付きで詳しく解説してくれる。
そもそも「電子ゲーム」とは、どういったものを指すのか。基本的には「大規模集積回路(LSI)を内蔵した小型のゲーム機」と定義できる。流行した1980年代は「LSIゲーム」などと呼ばれて親しまれたものだ。LED(発光ダイオード)を光らせるものやFL(蛍光表示管)を用いたタイプなど多くのゲームが発売され、子供たちの物欲を刺激した。ではどのようなゲームが人気だったか、代表的なものを紹介してみよう。
●ゲーム&ウォッチ
これは任天堂が発売した電子ゲームシリーズ。LCD(液晶)を用いた手のひらサイズのゲーム機で、「ファイア」や「オクトパス」などさまざまな種類が発売された。後に上下の2画面を使った「マルチスクリーン」シリーズで『ドンキーコング』などが発売され、こちらも人気に。当時、これらは価格が5000円以上で子供たちがそうそう買えるわけではなかったので、友人たちの間で貸し借りをして楽しんだという人も多かったはず。私もそうであり、だからこそ記憶にも残っているのである。
●FL(蛍光表示管)ゲーム
FLで画面を光らせるタイプのゲームの総称。「電子ゲーム」といえばこちらを連想する人も少なくないはず。FLを使用するため大きなサイズになりやすく、さらに大型の電池を使用するため燃費が非常に悪かった。しかし画面はカラフルで見栄えがよく、ゲームの完成度も申し分なし。個人的に思い入れがあるのは『平安京エイリアン』。当時、ゲームセンターで流行していたゲームだが、子供は立ち入ることが難しかったし、プレイ料金もバカにならなかった。だから家で遊べること自体が嬉しかったのである。
●テクトロンシリーズ
バンダイが発売した、電子キットとしても遊べるLCDゲームシリーズ。ラジオが聴けるなど、いろいろな機能が搭載されていたのだが、特筆すべき点は別にある。それはおそらく電子ゲームで唯一の「脱衣ゲーム」が発売されたことだ。それが『テクロトンNo.1 エッチな小人』である。イタズラ好きな小人に服を脱がされそうな姫を守るため、天使が矢を射って小人を撃退する。失敗すると姫が服を脱がされていくというワケだ。まあ正直、液晶で描かれた姫からはイヤらしさのカケラも感じないのだが、電子ゲームでこれを発売したこと自体に何というか、男気を感じる。
今は忘れていても、振り返れば語る思い出に事欠かないという人も多いであろう「電子ゲーム」。私自身、本書を読むまでは名前すら忘れていたゲームもあったが、眺めているうちに懐かしき記憶が蘇ってきた。現在、ゲームハードの性能は日進月歩だが、電子ゲームのような存在が礎にあってこそであることは、忘れないでおきたいものだ。
文=木谷誠