選ばれる女は本を読んでいる! バチェラーの愛を勝ち取った倉田さんが影響を受けた本5選
更新日:2018/8/27
Amazon Prime Videoで配信中の大人気恋愛リアリティ番組「バチェラー・ジャパン」。そのシーズン2に出演し、見事、バチェラーの愛を勝ち取ったイラストレーターの倉田茉美さんに、読書についてのインタビューを行った。ふだんからSNSでも好きな作家の新刊を紹介するなど、自他ともに認める読書家である倉田さん。「日本一過酷な婚活バトル」といわれる女の戦いを制した彼女に、今の自分の恋愛観にもっとも影響を与えた、とっておきの5冊を紹介していただいた。
勝因は読書! 本を読むことがいい恋愛、いい人生につながる
「小説もスピリチュアルも絵本も…江戸川乱歩とかホラー小説も好きだし、アニメ、漫画も。わりとなんでも幅広く読んでいると思います」という倉田さん。読書の習慣がついたのは保育園時代にさかのぼる。
「小さいときから、ひとりで待っている時間が多くて。その時間に絵を描いたり、絵本を読んだりしていましたね。保育園のころは『かいけつゾロリ』シリーズが大好きで、保育園にあった本を家に持ち帰ってまで読んでいました」
高校3年生のときに、実姉(作家の木爾チレン)が小説家デビューしたことで、活字への興味が加速していった。
「それまで、精神論的なことが書いてある本は、なんだか気恥ずかしくて読まなかったんですけど、読み始めてみると救われることが多くて。私、基本的に、人に悩みを相談してもあんまり解決しないタイプなんです。悩みを人に話すと、本当に悩みになっちゃうみたいなところとか、結局は自分で決めるしって割り切っているところもあって。そういうときに本に頼ることが多々ありました」
「バチェラー・ジャパン」の収録時にも、揺らいでしまいそうな倉田さんを支えたのは本だったという。
「持っていける荷物が限られていたので本当に数冊だけ。環境が変わると考え方も変わってしまうから、自分自身がブレないように、ポジティブな言葉を繰り返し読んで言い聞かせていました」
2代目バチェラーである小柳津林太郎氏も、読書家である彼女の言語センスには一目置いているようだ。
「(彼からは)言語化するのがうまいとか、言葉に力があるとよく言われますね。男の人…というか、とくに彼はその中でも単純なタイプやから(笑)、言葉を投げかけるとちゃんと響いてくれる。本を読んでいたことが、そういう面につながっていたと思うし、まさに勝因は読書!といってもいいかもしれません」
本がここまで自分を導いてくれた――倉田さんにとって読書は、自分自身の内面との対話に欠かせないものであると同時に、人との出会いを最良の形に方向づけてくれる指針のようなものでもある。
「人付き合いって、言葉ひとつやなって思うんです。相手との関係を良いものにしたかったら、美しい言葉、良い言葉を選んで投げかけないといけない。あとは、(言わなくても)まあ伝わるやろって思い込んでしまうとだめで、やっぱり言葉にしないとわからないことが友情でも恋愛でも多いと思います。だからこそ、いっぱい本を読むことで、自分の中に言葉を増やしていきたい。たぶんそれが結果的にいい人生にもつながっていくんじゃないかなって思っています」
愛を知り、愛を与えて、愛を勝ち取った彼女の中には、さまざまな書物から得たきらめく言葉たちがたくさん詰まっているのだ。
倉田茉美さんが選ぶ「私を作った本」5冊
『愛の話 幸福の話』(美輪明宏/集英社)
女性誌『MORE』で連載されていた美輪明宏氏の人気コラムの単行本。愛にあふれた幸福な人生を送るためのヒントや考え方を紹介する。
「私の人生を変えてくれた1冊。『バチェラー』のときにも持っていきました。もともと美輪さんの言葉に感銘を受けたのは、戦争に対するコラム記事を読んだことから。それから興味を持って著書も読むようになりました。美輪さんのモットーで『私はあなたを絶対に傷つけないからなんでも話して』という姿勢で人と話す、ということが書いてあって。また、人と話すときは相手に恥をかかせないようにするとか。人に恥をかかせて自分が得することなんて何もないし、それって本当に大事なことやなって。美輪さんの圧倒的な人間力に惹かれます」(倉田さん)
『ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)』(窪 美澄/新潮社)
「女による女のためのR‐18文学賞大賞」を受賞した「ミクマリ」ほか全5編を所収した窪美澄氏の連作長編小説。年上の主婦と関係を持つ高校生の主人公を中心に、さまざまな人物の視点から生きることの痛みや喜びを描く。
「読書にハマったきっかけともいえる本です。窪さんの作品はどれも好きなんですが、この作品が一番好きで、もう目次の時点で好き(笑)。色々な視点からその人の気持ちを汲み取って書くというところがすごいし、勉強になります。文章から情景が思い浮かぶ、美しい言葉づかいや描写も好きです」(倉田さん)
『地下鉄』(ジミー:作・絵、宝迫典子:訳/小学館)
台湾出身の絵本作家ジミー・リャオ氏が描く大人向け絵本の第3弾。独自の世界観と、精緻で美しい絵で、台湾はもとより世界で大ヒットとなっている。『地下鉄』は盲目の少女が地下鉄に乗って幸せを探す物語。
「見えないところに美しいものがある。眼の前に見えていることより、その人の心や見えないものに触れようとすることが大事なんやなって思わせてくれる作品です。絵がどことなくいつも切なくて、それが好き。絵を描きたい!っていう創作意欲をかき立ててくれたり、インスピレーションを与えてくれるものでもあります」(倉田さん)
『生きがいは愛しあうことだけ(ちくま文庫)』(早川義夫/筑摩書房)
元歌手であり元書店主でもある著者の、恋愛や音楽に対する思いを綴ったエッセイ集。新聞や雑誌での寄稿文のほか、文庫用の書き下ろし原稿を収録。
「恋愛って、男心をわかるのがてっとり早いと思うんです。私はわかりすぎて安心されきっちゃって失敗することも多いんですが(笑)、男の人の不甲斐なさや情けなさも愛おしいなって思うんです。早川さんはその不甲斐なくて人間らしい男の人の代表みたいな。痛々しいんだけど、その痛みに共感してしまうというか、すごくピュアで。カッコ悪くても本当の気持ちをちゃんと伝えよう、って私の背中を押してくれた本でもあります」(倉田さん)
『くちづけ』(宅間孝行/幻冬舎)
劇団「東京セレソンデラックス」で2010年に初演された同名舞台の小説化。実際にあった事件をもとに、障害のある娘とその父親の愛を描いた作品。
「舞台を実際に観に行ったんですが、終わったあとに涙が止まらなくて。でもただ悲しいだけではなくて、ユーモアもたくさんある作品。自分にとっての善悪や、いいこと・悪いことって、別の視点から見たら真逆だったりすることもある。そういうことを改めて考えさせてくれる作品です」(倉田さん)
取材・文=本宮丈子
撮影協力=Café Bibliotic Hello! 京都市中京区二条柳馬場東入ル晴明町650