世界中の働く猫にインタビュー! 十ニャン十色な職業を収めた新感覚猫フォトエッセイ

暮らし

公開日:2018/8/23

『猫のハローワーク』(新美敬子/講談社)

 猫は「寝子」が名前の由来になっているほど、1日の大半を寝ながら過ごしているマイペースな動物だ。そんな姿を見て「ゴロゴロしていられるなんて、羨ましい…」と思う人は多いだろう。

 しかし、世界には持ち前の能力や愛くるしさを活かしながら働いている猫も数多くいるよう。そんな働く猫たちの姿を撮影したのが『猫のハローワーク』(新美敬子/講談社)だ。働く猫たちにインタビューを行いながら制作された本書には、猫におすすめなさまざまな職業が数多く記されている。本書を読めば、自分の飼い猫にも合う職業が見つけられるはず。そこで筆者も、実際に我が家の愛猫たちに合う職業を探してみることにした。

■グルメな猫には水質検査員がおすすめ

 我が家には人懐っこくてグルメなオス猫が2匹と、少し鈍くさくてマイペースなメス猫が1匹いる。そこでまずは技術・資格系の職から、活発なオス猫たちに合いそうな仕事を探してみることにした。

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 最初に筆者の目に止まったのは、水質検査に励む1匹の黒猫の姿だった。

 この黒猫はどうやら、フランスのレマン湖畔周辺で暮らしながら、水質の検査をしているよう。彼の仕事は「飲み水」という札が張ってある水の質に変化がないかを毎朝確かめることなのだそう。我が家のグルメなオス猫たちも普段から水をよく飲むので、こうした職業であれば、楽しみながら働けそうだ。

 人懐っこい性格を活かすなら、フォトグラファーアシスタントも適職かもしれない。モンテネグロでアシスタントを務めている彼はいつかカメラマンになる日を夢見て、技を盗み出そうと目論んでいるのだそう。持ち前の愛くるしさを活かし、モデルにもなり切れる彼が人気カメラニャンとしてシャッターを切る日は、それほど遠くなさそうだ。

 我が家のオス猫たちも日々、スマホや一眼レフを向ける筆者に協力的な態度を示してくれるので、もしかしたら彼のようにカメラマンへの憧れがあるのかもしれない。そう考えると、今日の夜にでもオス猫たちにどちらの職がよいか相談してみたくなった。

■マイペースな愛猫にはハンモック販売員がぴったり!?

 活発な猫は能力を活かせる技術・資格系の職がおすすめだが、我が家のメス猫のように少しドジでまったりするのが好きな子には店舗・オフィス系やタレント・自由系の職が合うかもしれない。中でも筆者が興味をそそられたのは「ハンモック販売員」という職業だ。

 香港で暮らしているこちらの猫は自分の体を使いながら、ハンモックの良さを必死にアピールしている。心地よさそうな彼の姿を見ていると、思わずハンモックを購入してしまいそうになる。我が家のメス猫も、日々ハンモックを魅力的に使用しているので、これは適職かもしれない。

 また、人口減少や少子高齢化が顕著になりつつある田舎に住んでいる方は愛猫に「住みやすさPR係」として頑張ってもらうのもよいのではないだろうか。実際に、クロアチア北部にある港湾市リエカから2時間ほどで行けるクルクには、地面に寝そべりながら地域の安全性を伝えるプロPR担当がいるようだ。

 彼女のプロ根性は、我が家で毎日寝ながら平和を訴えている愛猫に通じるものがある。職に就いた暁には我が家の愛猫が、どんな風に筆者の地域をPRしてくれるのか楽しみになってしまう。

 本書には他にも猫の職業が数多く記されている。もちろん、いうまでもなく、こうした職業やインタビュー内容はすべてフィクションである。しかし、新美氏が撮影した写真を見ていると、どの子も本当に仕事を満喫しているかのように思えるから不思議だ。猫の仕事は十ニャン十色。猫を飼っている方はぜひ愛猫の性格や趣味、日課を踏まえながら天職を探してみてはいかがだろうか。

文=古川諭香