“普通のサラリーマン”こそ会社を買おう 人生100年時代のための生存戦略
公開日:2018/8/31
会社に雇われているサラリーマンのみなさんは、「資本家」と聞いてどんな人たちをイメージするだろうか。資本家とは、会社に出資をしたり、経営することで利益を得て生活している人たちのことだ。多くの人は、彼らに対して「元々お金持ち」「特別な能力が必要」「成功すればとても儲かるが、失敗したときのリスクも大きい」などといった印象を持っていると思う。
たしかに、これまでの時代はさまざまな障壁やリスクがあり、会社のオーナーや経営者になれるのは、ごく限られた人たちだった。だが、『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門』(三戸政和/講談社)によれば、多くの中小企業が後継者不足に陥る「大廃業時代」には、“普通のサラリーマン”がキャリアを生かして資本家になるチャンスがあるという。
■普通のサラリーマンに起業は難しい
「会社のオーナーになるなら、自分で起業しなくては…」と思う人もいるかもしれないが、本書では起業を推奨していない。著者によれば、起業をする人は、“普通のサラリーマン”とは別次元の人。経営の初心者が起業に挑戦し、試行錯誤を繰り返して会社を安定させるには、10年はかかるという。日本では、起業して5年後に残っている会社は全体の半分以下、10年後となると4分の1以下である。強いモチベーションを持ち、人生のリスクを取れる起業家たちが、「全力で」挑戦してこの数字なのだ。そう考えると、普通の会社員が気軽に始められるものではないだろう。
■5年、10年続いた会社を“買う”
反対に、厳しいスタートアップの時期を乗り越えて、5年、10年と続いた会社は、生存の確率が高くなっていく。著者によれば、創業から5年を過ぎると各年の生存率は90%を超え、10年経てばその会社は“安定飛行”に入ったと言えるようだ。本書で提案しているのは、こうした中小企業に対して個人でM&Aを行い、「会社を買う=事業を引き継ぐ」ことである。
「長年会社員として働いてきた自分に、会社経営なんてできるのか?」と心配する人もいるかもしれないが、“普通のサラリーマン”たちは、中小企業がうらやむものをいくつも持っている。長く業界にいる中で見てきた多くの成功例や失敗例。たくさんの部下を束ねてきた組織マネジメントの能力。中小企業にはない洗練されたビジネスモデルを活用してきた経験。中小企業は、これから伸びるポテンシャルがあっても、経営システムやビジネスモデルが効率化されていないことが多い。
あなたがそうした会社を買い、サラリーマンとしての経験を活かせれば、会社をより成長させることができるはずだ。そうすれば、あなたは「資本家」として会社員時代よりも多くの収入を得ることができ、老後資産への不安もなくなるだろう。
とはいえ、本稿を読んだだけでは、「そんなにうまく行くのか?」という不安はまだまだ残っているはず。興味のある人は、実際に本書を読み、近年中小企業が陥っている「後継者不足」の実情や、ポテンシャルのある会社をいかに見極めるかといった具体的なノウハウに触れてみてほしい。きっと「自分にもできるかも」と思えるはずだ。
本書は8月31日(金)10時から9月7日(金)9時59分の期間、楽天Koboにて「講談社 夏電書」フェアの対象となっており、クーポンを利用すると40%OFFで購入することができる。この機を逃す手はないだろう。
文=中川 凌