「もうがんばれない」心が折れた時に必要な言葉は……

暮らし

公開日:2018/8/27

『「感情のごみ箱」にする人される人』(更紗らさ/三楽舎)

 会社で受けた理不尽な扱いや、家庭でのストレス、怒り、悲しみ、不安……そういった物がたくさん詰まってしまい、いつも心のモヤモヤが晴れないのなら、『「感情のごみ箱」にする人される人』(更紗らさ/三楽舎)を読んでみてはいかがでしょうか?

 本書は人気占いカウンセラーの著者が、人の苦しみの中に潜む「感情のごみ箱」という負の連鎖を断ち切り、幸せの連鎖に変えるための捉え方・考え方を提唱している一冊です。

☆「もうがんばれない」自分にかける言葉

 誰しも、努力しているのに報われなかったり、夢が実現しなかったりして、心が折れてしまうこともあると思います。

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 そんな時は、「もうがんばれない」ではなく、「今日はがんばれない」という考え方に変えていくと、気持ちが楽になるかもしれません。

「もうがんばれない」だと、永遠に暗闇の中にいるような不安や焦燥感が湧き上がってきます。しかし、著者の更紗らささんいわく、「がんばれない時は、誰にでもあります」「何も考えない状況をつくることで、心もリセットされ『とりあえず、また明日から少しずつやっていくか』と思えるようになります」。「がんばれない自分」を許してあげることも大切なのです。

☆わかってもらえない。大切にされない。嫌われている――。どうして私だけ?

 なぜか、誰からも愛されない。そんな悲しみを抱いているとしたら、「愛されない理由」を考えるのではなく、「愛されていないと『私が感じる』理由」を考えてみるといいそうです。

 大切なのは、「私には愛される価値や魅力がない」という無価値感や「私が悪い人間だから愛されない」という罪悪感を捨て、まずはあなた自身が自分を愛すること。そうでないと、たとえあなたの周りの人があなたに愛情を向けていても、それを受け取ることができないそう。

 また、自分を愛することを通して、「どう愛してもらおうか?」から「どう愛していこうか?」という心に変化が起これば、相手の喜びで自分の心を満たすことができ、「愛されない」という孤独感から脱け出すことができるのです。

☆本当に「私らしく生きる」ためには……

 著者のもとには、「彼が変わってしまった」という女性の相談者が訪れることが多いそうです。付き合い始めは、言わなくても誕生日にプレゼントをくれたのに、付き合って2年になり、今年はプレゼントをくれなかった……。これに対して更紗さんは「だったら、誕生日プレゼントが欲しいと言えばいいじゃない」とアドバイスしますが、相談者は気が乗らない様子。

 彼女が求めているのは「今までと変わらず、言わなくてもプレゼントをくれる彼」なのです。しかし、「お付き合いが長くなるにつれて、関係性が変わっていくのは仕方のないこと」「あなたが望むようには、人は変わってはいかないのです」「彼との関係をこれからも続けていきたかったら、あなた自身が変わっていくしかない」と、更紗さんは思うそうです。

 これは恋愛だけの話ではありません。自分の「願い」や「大事にしたい人(事)」がどこにあるのか考え、その願いのために「変化」が必要なら、それを受け入れていくしかない。「私らしく生きたいから変わらないじゃなくて、私らしく生きたいから変わる、それが柔軟な思考」なのです。

 本書は、なかなか消えないモヤモヤを、寄り添うように払ってくれる、優しさに溢れた一冊。「感情のごみ箱」に溜まっていく、あなたの様々な苦しみを、根本的に癒してくれると思います。

文=雨野裾