先生同士の仲が悪い幼稚園・保育園は危険!? 幼稚園・保育園を決める前に知っておきたいこと

出産・子育て

公開日:2018/8/28

『幼稚園・保育園 親が知らない本当のところ』(津久井幹久:著、あかぎりゅう:画/祥伝社)

 我が子を初めて幼稚園・保育園に預けるとなったとき、右も左も分からなくて困るのは当たり前だ。ご自身が有資格者や関係者でもない限り、幼稚園・保育園という世界は裏側までは見えにくいように感じることだろう。

『幼稚園・保育園 親が知らない本当のところ』(津久井幹久:著、あかぎりゅう:画/祥伝社)という書籍は、第三者である著者が保護者に近い視点に立ち、全国のさまざまな園やそこで働く先生たちに取材を行って現場の「ナマの話」を集めたものだ。本書は主に、初めて子どもを園に入れるときに多くの保護者が不安を感じるであろう、以下の3つの疑問に対応する形となっている。

・そもそも幼稚園とは? 保育園とは? 実際はどんな世界なの?
・子どもにとって危険な園を避け、良い園を選ぶために見るべきポイントは?
・入園後、保護者は園とどう接していくべき? 気をつけるべきマナーは?

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 この1冊が手元にあるだけで、保護者の安心感もずいぶんと変わってくることだろう。本稿ではその内容を以下に少しだけご紹介したい。

■先生同士の仲が悪い園は避けた方が良い

 愛する我が子を預けるとなると、やはり「アブない園」は避けたいところ。著者が取材したほとんどの先生が、「いい園と、そうではない園の違いは何か」という質問に対し、「先生の仲がいいか、悪いか」と回答したのだという。

 職員の大多数が女性であるため、どの園にも多かれ少なかれ「派閥」はつきものだそうだ。それが「何となく仲のいいグループがある」程度ならば良いのだが、こじれて「園長先生派と主任先生派の冷戦状態」なんていう状態にまで発展する例も少なくはないのだとか。

 そうなってしまった園では、「あの先生のクラスがいるから、今は遊戯室を使わない」とか、「あの子はあの先生がカワイがっている子だから、面倒みない」なんて事態が発生するケースもザラにあるのだと本書は指摘する。

 確かに、大人のいざこざに巻き込まれてしまった子どもが楽しく健全に過ごせるとは思い難い。職員の人間関係が保育の質を下げるような「アブない園」を避けるためにも、園を見学する際は、何を置いても「先生たちの仲の良さ」「職員同士の雰囲気」をチェックすべきだという。

■先生たちはワーキングプアと紙一重

「先生たちは、子どもの相手をしているだけでお給料をもらえるんだから気楽なもんよね」「私たちは毎日、もっとツライ仕事をしながら子育てしている」――こんな悲しい誤解による暴言が、園で働く先生たちに向けられることも多々あるのだという。どうやら、先生たちの実情を知らない保護者は多いようだ。

 正規職員の先生たちの初任給は、手取りではなく総支給額にしておおよそ10万円台の半ばくらいに設定されていることが多いという。勤務時間は、長い先生で1日12時間以上にも及ぶ。子どもたちの来園前の早朝に出勤し、保育時間の後はデスクワークや行事の準備に追われる。たとえ休日であっても、園関係の用事でスケジュールが埋まってしまう先生もいるのだとか。

 こうして見ると、先生たちの仕事が給料に見合っていないということは火を見るよりも明らかだ。むしろ、昨今話題の「ワーキングプア(=働く貧困層)」に近いくらいだと本書は指摘している。

 ではなぜ先生たちがこの仕事を選んでいるのか? それは「子どもが好き」だからに他ならない。そのことを、子を預ける立場の保護者も理解しておかねばならない。もしあなたが、「先生は仕事なんだから、やって当然」という態度ならば、一度見直す必要がありそうだ。

 本書には他にも、幼稚園と保育園は何が違うのかという初歩的なものから、先生から敬遠されがちな保護者の特徴まで、子どもを初めて幼稚園・保育園に預ける親が必ずと言って良いほど不安に感じてしまう問いの答えが詰まっている。

 昨今何かとマイナスなニュースが取り上げられがちな幼稚園・保育園だが、本当はとても素敵な空間なのだと筆者は思う。子を育てるという人類の営みに、子ども好きのプロたちが責任をもって取り組む。そんな信頼できる素敵な園に大切な子を預けるためにも、本書で事前に知識を吸収しておきたいものだ。

文=K(稲)