おっぱい好き男子や恋愛に不安な女子に「詩」を! 人生の悩みに効く詩のクスリ
公開日:2018/8/31
心が傷ついたときやひとりになりたいときは、お気に入りの音楽に耳を傾けながら歌詞に浸りたくなるものだ。時には、心にそっと寄り添ってくれる処方箋のような詩に触れてみるのはいかがだろうか。詩は内容を掴みとるのが難しそう…と思われる方もいるかもしれないが、歌詞よりも短い言葉の羅列は、心にダイレクトに響くことも多い。そんな特別な1編との出会いは『そんなとき隣に詩がいます 鴻上尚史が選ぶ谷川俊太郎の詩』(谷川俊太郎・鴻上尚史/大和書房)で得られる。
本書は全12カテゴリーの場面やテーマにマッチする谷川氏の詩がそれぞれセレクトされている。劇作家・鴻上氏が3000以上の詩を読み込み、喜怒哀楽に揺らぐ心を優しく撫でてくれる詩を選び、各カテゴリーごとにエッセーを添えている。本稿では具体的なシチュエーションを提案しながら、フィットする処方詩集をご紹介していきたい。
■恋愛が思うようにいかなくなったときは…
インスタ映えするスポットや夜景が見えるおしゃれなレストランへ出かけなくても幸せに浸れる時期が、恋愛中にはある。しかし、そんな時期が過ぎると徐々に相手の気持ちが分からなくなり、愛されたい想いが一方的に募っていく。「いつから、あの人のことが分からなくなったんだろう…」そんな物悲しい不安な気持ちになったときに噛みしめたいのが「願い」という詩だ。
心に感じた痛みは自分だけのものだが、だからこそ、愛しい人には無条件に分かってもらいたくなる。そして、「どうかあの人の頭の中も心も私で埋め尽くされますように…」と依存的な愛を盲目的に向けたくなる日だってあるだろう。だが、こんな想いはわがままで滑稽に思えてしまうから、恋人には伝えられずひとりで抱えてしまうことも多いものだ。しかし、心の本音を「詩」と分かち合えれば、気持ちがすっきりとして笑顔の頃の2人に戻れるかもしれない。
そして、幸福感をめいっぱい味わえる時期がまた訪れたら、大好きな気持ちが溢れだした詩に心を委ねてみるのもよいだろう。
恋愛中は、より大きな幸せを求めてしまいたくなるものだが、恋愛の最大の醍醐味は、大好きな人が触れられる距離にいてくれるという事実だ。見逃しがちな幸福を再確認できる谷川氏の詩は、気に入ったラブソングのように、じんわりと心を温めてもくれることだろう。
■その結婚、単なる「拘束」になっていませんか?
一生添い遂げることを誓い合った相手でも、一緒に過ごし相手の意外な本性が見え始めると、結婚したことを後悔したくなることもあるだろう。結婚は人生の一大イベント。だからこそ、どれだけ相手に愛想が尽きても離婚という選択肢を選ぶには勇気がいる。
結婚の継続か離婚への一歩か…。そう悩み、精神的にも疲れてしまった時は本書内の「別れてもいいんだ」を読んで、心の重荷を減らしてみよう。
愛情と情は似ているようで、異なるものだ。一度真剣に愛した人に見切りをつけることは心が痛くなることだが、2人でいる楽しさよりも苦しさのほうが上回ってしまったのならば、まず自分の幸せを考えて行動するのもいいかもしれない。
また、自分の人生が他人の人生になってしまっていると感じる方は、目の前にある結婚生活が“結びつき”ではなく、単なる“拘束”になっていないかを考えて、夫婦関係を見つめ直してみよう。
■おっぱい好き男性&胸にコンプレックスを抱く女性に…
「おっぱい」という言葉の響きは、なぜか不思議と男性の胸をくすぐる。おっぱいは単なる性のシンボルではなく、命の象徴でもある。人は生まれると、母親のおっぱいから生きる糧を補給し、命を紡いでいく。そのため、どれだけ立派な人や世界的な有名人にとっても、おっぱいは特別なのだ。そんなおっぱいの偉大さは谷川氏の詩からも伝わってくる。
どんな格式ばった言葉や権力も、優しくて柔らかなおっぱいの前では無力になってしまうことだってある。おっぱいは形も大きさもさまざまだが、どれも等しく素晴らしい。世の女性たちは自分のおっぱいを思いっきり誇り、男性はその温もりを大切に愛でていけたらよいなと思う。
谷川氏の詩に加えて、鴻上氏の味わい深くて温かいエッセーにもどっぷりと浸れる本書は、いつでもページさえ開けば二重の癒しを与えてくれる。寂しさや苦しさ、辛さなどマイナスな感情を抱えたときは、ぜひこの「人生処方詩集」を活用してみてほしい。
文=古川諭香