耳の病気? それとも脳の異常…? めまいや耳鳴り、難聴の危険なサイン
更新日:2018/9/3
忙しい毎日を送っていると、ふと、めまいがしたり、耳が聞こえにくくなったりすることがある。だが、それを「単なる疲れ」「すぐに治るもの」と決めつけてしまって本当にいいのだろうか。もしかしたらその症状は体からのSOSなのかもしれない。時には自分の体を少しいたわってあげてもいいのではないか。
もし、めまいや耳鳴り、難聴にお困りなら、小川 郁氏監修『難聴・耳鳴り・めまいの治し方』(講談社)がおすすめだ。本書には危険なサインの見極め方や受診時に医師に伝えるポイント、診断に必要な検査についても解説。不快な症状を解消するためのあらゆる方法を詳しく説明している。
そもそも、難聴・耳鳴り・めまいは、症状の起こり方や同時に現れる症状からだいたいの危険度を推測できる。
【危険度A】マヒやしびれを伴う場合
(→脳の異常の可能性があるため、すぐに救急車を呼ぶべき)
【危険度B】突然発症した場合
(→治療の遅れは回復の遅れにつながるので、早めに受診すべき)
【危険度C】気になる症状があるが上記に当てはまらない場合
(→重大な病気がないかどうか確認のため一度は受診すべき)
症状を感じたら、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診するのが基本。しばらく様子をみる人もいるが、症状を起こす病気には、早く治療を始めなければならないものもあるから、症状を自覚したら、必ず受診するようにしよう。その際は、耳鼻咽喉科に行き、自覚している症状を整理して伝えるとよい。最初に症状が現れた時の状況、時間の経過に伴う変化などが原因を絞る参考になる。原因は耳だけだと思われがちだが、脳や全身に原因がある場合も少なくない。耳鼻咽喉科で耳の診察や検査を中心に全身をチェックしてもらおう。
難聴や耳鳴りを起こす病気は、ふだんからクセになっていることに原因がある場合も多い。たとえば、耳掃除は気持ちがいいし、「しないとダメ」と思っている人もいるが、外耳や鼓膜を傷つけるおそれがある。鼻を勢いよくかむのも耳への負担が大きく、中耳炎や外リンパ瘻(ろう)になる可能性がある。また、イヤホンやヘッドホンも寝ながら使ったり、大きな音で使ったりすると、難聴を引き起こしかねない。耳を守るためにも、難聴や耳鳴りを起こす行動を改めるようにしよう。さらに、適度な運動は全身の血行が促され、症状の改善につながる。特にめまいには、本書で紹介する“めまい体操”がおすすめ。積極的に取り組もう。
難聴とうつ病の関連を調べた調査では、特に男性では難聴のある人はそうでない人の約3倍もうつ病になりやすいことがわかったという。また、補聴器を使っていない人は認知機能が低下しやすいという研究結果もある。難聴は他の病をも引き起こしかねない症状。早めの対策が何よりも重要なのだ。
難聴やめまいは心身の疲れによっても発症・悪化する。がんばりすぎている自分を自覚し、生活習慣を見直して、耳や体、そして、心をいたわってあげるようにしよう。
文=アサトーミナミ