ビール初心者にこそ読んでほしい、ちょっと不思議なビール擬人化コミック!

マンガ

更新日:2018/9/10

『恋するクラフトビール 知識ゼロから好みの一杯に出会える』(TOA:著、野田幾子:監修/KADOKAWA)

 暑い日や仕事を頑張った時、スッキリしたい時に、「ビールを飲みたい!」と口にする人は多い。しかしその反面、「苦くて苦手」「あまり好きじゃない…」と、意外に好みが分かれる飲み物でもある。かくいう筆者も、あの独特の苦みを美味しいと思えず、飲み会などでもチューハイやカクテルを頼んでしまうタイプだ。でも、グラスの中でキラキラ金色に輝くあの美しさは好きで、苦手なことを少し残念に感じたりもする。

 そんな気持ちもあって手に取った、この『恋するクラフトビール 知識ゼロから好みの一杯に出会える』(TOA:著、野田幾子:監修/KADOKAWA)。読んでみると、どうやら本書の主人公・二条麦穂も、ビールが苦手らしい。麦穂は新入社員として働き始めたばかりのOL…だったのだが、会社にうまくなじめず早々に辞めることになってしまった20代前半の女性。会社を辞めた帰り道、ヤケになって走っていた麦穂は、酒瓶を持ったビアバーの店員にぶつかって酒瓶を割ってしまう。

 麦穂は割れた酒瓶50万円分を弁償することになり、それを支払うためにそのビアバーで働くことになってしまった。そしてそこで、ビールにはさまざまな種類がある、ということを知る。たとえば、「ホワイトエール」。

advertisement

「ビールは苦手」と思っていた麦穂だったが、フルーティーな味わいのホワイトエールは気に入った様子で、「ヨーグルトみたい」と言いながら美味しそうに飲んでいる。その後も麦穂は、さまざまなお客さんに勧められてはいろいろなビールを試飲し、その奥深さに感銘を受けていく。

 それと同時に、麦穂がお店で働き始めてから、彼女に不思議なことが起こるようになっていた。ビールを飲むと急に意識が遠のき、夢を見るのだ。夢は決まって、飲んだビールと同じビールが擬人化され、存在している世界。

 麦穂はその夢の中で、ビールの歴史や作り方、特徴を教えてもらい、少しずつビールの世界にはまっていく。今存在するさまざまなビールは、長い歴史の中で工夫や改良がなされ、みんなに愛されながら育ってきたものばかり。その様子を見ていると、なんだかビールがとても尊いものに思えてくる。

 ビールが苦手だったはずの麦穂が美味しそうに飲む姿を見ていると、「私もいけるのでは?」「自分に合うビールを探してみたい」という気持ちになってくる。筆者もこの本を読んで、思わず「ホワイトエール」と書かれたものを探し、2種類ほど買ってしまった。

 そしてなんと、飲めた…! 「全然苦くない」という言葉に半信半疑だったが、味わってみるとフルーティーな爽やかさを感じられ、ほどよい苦みが心地よくなってきた。個人的に家で、もっといろんなビールを試してみたくなった。

 この『恋するクラフトビール 知識ゼロから好みの一杯に出会える』は、麦穂や筆者のような、ビールが苦手な人にこそ読んでほしい。もちろんお酒なので飲みすぎは良くないが、大人の楽しみの1つとして本書を読みながら好みを探っていくと、ビールの見方が変わるかもしれない。

文=月乃雫