「書く」だけで願いが叶うって本当? 年商3億円を稼ぐ藤本さきこさんインタビュー【前編】

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更新日:2018/9/11

 ノートに「書く」だけで願いが叶う――。そんなことが本当にあるのだろうか。

 ベストセラーとなった『お金の神様に可愛がられる方法』『お金の神様に可愛がられる「3行ノート」の魔法』。著者である藤本さきこさんは、ノートに自分の思いを書くだけで、月収10万円から数年でいまや年商3億円に跳ね上がったという逸話の持ち主だ。

 そんな藤本さんが自分の経験をもとに提唱しているのが「設定変更」のメソッド。なんでも、自分の感情をノートに書き出し「明らかに見る=明らめる」ことで、本来の願いとは違う思い込みや勘違いを排除。新たに、本当に自分が感じている“設定”に“変更”することで、幸せな人生を手に入れることができるというもの。たとえばこんな風に……。

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爆発的に収入を増やしたいという例を取り上げ、設定変更していく流れ。『お金の神様に可愛がられる「3行ノート」の魔法』より。

 たしかに、自分の思ったことを正直に書き連ねることで、感情の整理がつくのはわかる。でも、本当にそれだけで願いが叶ったり、理想の自分に近づけたりするのだろうか。人生ってそんなに甘くないのでは……? なんて、ちょっと懐疑的な思いを抱いていたところ、このほどシリーズ3作目となる『お金の神様に可愛がられる「人づき合い」の魔法』が出版されたとか。

 これは、なんていいタイミング! とばかりに、実際に藤本さんを直撃してみることにした。

──まず、藤本さんが提唱する「設定変更」のメソッドは、どんなきっかけで生まれたのか、改めて教えてください。

 以前、地元の青森で友だちと一緒にやっていた雑貨屋の経営が、東北大震災の影響で立ち行かなくなってしまって……。どうしたらいいのかわからなくて、うつ状態に陥ってしまったんです。自分では制御できない感情に振り回されて、外出するのもままならないときに、ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』を読んで。「目標を達成するには燃えるような願望を持たなければならない」という内容だったんですが、たしかにそうだよなって納得感があったんです。それじゃあ、今の私の願望ってなんだろう? って自分の状況や感情を整理するためにノートを書き始めたのがきっかけです。

──ノートを書き始めたことが「設定変更」につながった、と?

 そうです。当時、ずるずると店舗運営を続けていたんですが、ノートを書くうちにそれは自分の本当の願望じゃないって気づいて。ただ「お店を畳んだら周りから失敗したと思われる」という設定をしていただけだったんです。そのときふと、子どものころから「私の人生なんて、一生懸命生きようが死のうが、どっちも同じじゃん」って考えてきたことを思い出して。それなら「もう周りの目は気にしない。自分のやりたいようにやる」と設定変更したら、それまでのうつ状態が嘘みたいに、人生の幸福度が急上昇しました。

──子どものころから、すごい思想を持っていたんですね……!

 ずっと、人は死んだらどこへ行くのかとか、自分の人生が、誰かもっと高次元にいる人のジオラマの中で起こっていることだったらどうしようとか、そんなことばかり考えていました。東京に出てきたときなんて、高層マンションに並ぶ無数の明かりを見て「この一つひとつにそれぞれの人生があるなら、自分ってなんてちっぽけな存在なんだろう……」って絶望的な気持ちになっちゃいましたもん(笑)。「私が悩んだり苦しんだりしながら、どんなに一生懸命自分の人生を生き抜いても、あの窓の向こうの人には何の関係もないんだ」って。たぶん、ものすごく神経質なんですよね。昔は周りの人の評価がすごく気になるほうだったし。でも、それをすっぱり「明らめた」ら、もうどうでもいいやって。自分のちっぽけな世界に固執するのはやめて、もっと大きな視点で見るようにしたら、自分のやりたいことだけやればいいじゃんって気持ちに変わったんです。

──なるほど……。著書の中に「宇宙」というワードが頻出するのはどうしてだろう? と気になっていたんですが、なんとなく理由がわかった気がします。「自分か、宇宙か」くらい大局的な視点を持つってことですね。

 そうです! しかも、それが結果的に身近な世界にもいい影響を及ぼすんですよ。周りの一人ひとりの期待にいちいち答えようとするんじゃなくて、まるっと「自分はこうしたい!」って気持ちで行動していると、意外と周りの人が評価してくれたりする。ずっと細かいことにこだわって生きてきたけど、一度それを取り払って大局的に自分を見てみたら、こっちのほうがずっと素敵だなって。

上を見上げるのが好きで、都会に出てからはいつもこういうことを思っていました。不思議ですが、自分自身を見ていたんだと思います。『お金の神様に可愛がられる「人づき合い」の魔法』より

──ほかに、藤本さんの著書の中には「女性性」というワードもよく出てきますよね。

 女性は、自分が「女性であること」と認めて自分を徹底的に大切にしていかないと、生きるのが辛くなっちゃうんじゃないかなと。一般的な社会とか物質世界とかの「外側」って、どうしても男性の基準で動いていると思うんです。仕事でも、収入とか肩書が重要……っていう。でも女性は、やりがいや充実感を大切にする人が多いですよね。それは、女性が「内側」の存在だから。いくら「外側」で頑張っても、そのうち無理がきかなくなってダメになっちゃいます。

──「内側」の存在……ですか。

 私もそうだったんですけど、勝手に涙が出てくること、ありません? 悔しいとも悲しいとも、なんとも思ってないはずなのに、条件反射で涙が出ちゃうこと。これって女性特有で、たぶん気付かないうちに何かが心のどこかに触れてるんですよね。私、ずっとそれが“弱さ”だと思っていて、すごく嫌だったんです。でも、自分を「明らめる」ことを覚えてから、女である自分を受け入れられるようになって。そうしたら生きることがとても楽になったんです。

──たしかに、どうしても男性と同じようにはできないこと、ありますよね。

 みんな大人になってから気づいちゃうんですよね。「なんで女だけ?」って。生理があって妊娠・出産があって……。おまけに、子どもができたら休職せざるを得ないとか。女って損だなって、つくづく思いますよね。「なんで女になんて生まれちゃったんだろう」って、私も考えてました。でもなんでそんなことを思うのかって、もっと大局的に考えたら「ちゃんと女として生きたい」って感じてるからですよね。だからこそ悩んだり落ち込んだりするわけです。だから、それを受け入れるところからが本当のスタート。働いている女性はとくに、そこで葛藤している人が多いと思いますが、自分の「女性性」を認めると心が自由になります。

──「女性性」を認めると、どんないい影響が得られるのでしょうか?

「内側」を徹底的に大切にすることができるようになります。「外側」を重視する男性的な生き方は、常識と信じられていることや、周り人からの影響を強く受けていくこと。そうじゃなくて、自分の声にだけ耳を傾けるのが「内側」を大切にする生き方です。自分と徹底的に向き合って本当の願いがわかったら、もう頑張る頑張らないじゃなくて、やるしかないんです。だから結果にもつながっていく。もし誰かに「間違ってる」って言われても「でも、私はこう思ってるから」と心の中で言い返せばいい。答えは自分の中にしかないんです。

──「女に生まれたことは損だ」と思う設定自体を変えてしまうということですね。実際、藤本さんは仕事をしながら4人のお子さんを育てています。仕事と子育てを両立するうえで心がけていることなどはあるんですか?

 ぜんぜんないです! 基本的に放任主義なので。ただ、子育てについてひとつだけ意識しているのが「決めつけないこと」。うちの子はみんな個性が強いんですけど、それを絶対に否定しない。常識を押し付けたり、無理に周りと合わせさせたりはしません。一番上の中学生のお姉ちゃんはとてもしっかりしていて、下の4歳と2歳の妹の面倒をよく見てくれています。ただ、二番めの小学生の男の子は少しやっかいで。宿題とかぜんぜんやらないから、この間ついに先生に呼び出されてしまいました……。だから夏休みの宿題は口を酸っぱくして、ちゃんとやるように言っています! でも、それも彼の個性かなって思って「明らめて」ますけどね(笑)。

 藤本さんのメソッドは、自分の頭の中から周囲の雑音や、折り合いをつけるための嘘をきれいさっぱり取り払ってくれるものだ。たしかに、普段から好き勝手に生きていると思ってはいても、「それは本当に自分のやりたいこと?」と聞かれると、すんなりと首を縦には振れない。

 ノートに書くことで自分の「内側」と徹底的に向き合えば、自分の本当の願いが見えてくる。すると、それを叶えるためにどんな行動を取ればいいのかが、はっきりわかるようになるのだろう。もしかしたら、それが成功につながる秘訣なのかもしれないと妙に納得してしまった。

 後篇では「人づき合い」をテーマに据えた新著『お金の神様に可愛がられる「人づき合い」の魔法』について、さらに話を聞いていく。

取材・文=近藤世菜 撮影=山本哲也

【プロフィール】
藤本さきこ(ふじもと さきこ)

株式会社ラデスペリテ 代表取締役
1981年生まれ、青森県出身。累計3万人以上を動員した「宇宙レベルで人生の設定変更セミナー」を主宰する人気講演家。4人の子を持つシングルマザーでありながら、実業家としても活躍、1日10万アクセスを誇るパワーブロガー(アメーバオフィシャルブロガー)としても知られる。
友人と共同創業した「petite la’ deux(プティラドゥ)」は実店舗からネットショップへ事業形態を変更。布ナプキンや化粧品、香油、ハンドメイド雑貨の販売でいまや年商3億円を超える規模に拡大。自らの人生を「明あきらめた(明らかに見た)」結果、宇宙の叡智に触れる経験をして以来、「女性性」を大切にすることをテーマに人生の在り方を追求。「設定変更」と称し、書き続けたノートによって人生が劇的に好転し、それをつづった『お金の神様に可愛がられる「3行ノート」の魔法』が大ヒット。処女作『お金の神様に可愛がられる方法』は発売前重版がかかるべストセラーに。最新刊『お金の神様に可愛がられる「人づき合い」の魔法』がある。