パン好きなら眺めているだけで幸せに…。世界のパンが大集合!『パンのずかん』

出産・子育て

公開日:2018/9/6

『パンのずかん』(大森裕子:作、井上好文:監修/白泉社)

 全国のパン好きの皆さん、お待たせしました。世界各地のパンが一堂に会した図鑑絵本『パンのずかん』(大森裕子:作、井上好文:監修/白泉社)が9月5日、白泉社より発売された。食パンやフランスパンなど代表的なものから、インドのナンやイタリアのフォカッチャまで、数多くのパンのカラーイラストと解説文が掲載された図鑑絵本である。

「まるいパン」「しかくいパン」「あげたパン」……。ページをめくると、形や調理法ごとに分けられた各種のパンがぎっしり並んでいて、思わず感嘆の声が出る。パン屋さんのいい匂いが漂ってきそうな、写実的なイラストがなんとも魅力的だ。

 この作品を手掛けた大森裕子さんは、シリーズ前作にあたる『おすしのずかん』も手がけた人気の絵本作家。今作でもパンの特徴を見事にとらえた、魅力的なイラストが満載。本のあちこちに登場する「くまベーカリー」のキャラクターたちも愛らしい。

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 パンに添えられた解説文は、子ども向けに書かれてはいるが、大人のパン好きでもなるほどと思うものばかり。「さいしょのころのジャムパンは、ほとんどがあんずジャムだった」、カンパーニュは「フランスごで『いなか』といういみ」、クロワッサンは「フランスごで『みかづき』のこと」。知っていそうで意外に知らなかったことばかりで、パンの世界の奥深さに触れられる。

 それぞれのパンがどこの国で生まれたのか、国旗マークで示されているのも特徴。あんパンやメロンパンが日本発ということは知っていたが、キューブデニッシュやホットサンドもそうだとは知らなかった。アメリカ生まれのハンバーガー、ベルギーのワッフル、ドイツのシュトレンと、世界の食文化をパンという窓をとおして眺めることができる図鑑にもなっている。

 また、子どもたちが大喜びしそうなのが「これもパン!」というコーナー。「パンダ」に「パンジー」、「パンツ」に「フライパン」とパンのつく言葉を集めて、パンの仲間として紹介。巻末では畑から収穫された小麦がパンになり、くまベーカリーに並ぶまでを大図解している。日々口にしているパンがどうやってできるのか、分かりやすく学ぶことができる。

 親子で眺めれば、「これが食べてみたい!」「こっちが美味しそう!」と盛り上がること間違いなし。身近な食の世界に、あらためて目を向けるきっかけにもなるだろう。大人も子どもも、明日からパン屋さんに行くのがもっと楽しくなる。そんな図鑑絵本だ。

文=朝宮運河

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