秋のスーツ選びから鉄則を2つ紹介。「知的なビジネスマン」に見せるテクニックは…
公開日:2018/9/16
連日の猛暑が去り、いくぶん過ごしやすい日が続くようだ。本稿で紹介する『仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。』(山本晃弘/クロスメディア・パブリッシング)のタイトルは一見突飛に思えるものの、これこそが「男性のファッション誌の編集長を30年やってわかった、本当のホント」として、アエラスタイルマガジンの現役編集長が語るビジネスマンの着こなし王道ルールだ。
■「着こなし術」は仕事ができる人にこそ必要
人は見た目が重要。このルールはビジネスにも当てはまる。「仕事ができれば、着こなしは関係ない」と思っている方もいるだろうが、「仕事ができるように見えなければ信頼は獲得できない」というのが著者の提案だ。
“実際にビジネスの現場を考えると、クライアントや職場の仲間に仕事ぶりが伝わっていなければ、それは「仕事ができる」とは言えないのです。”
実際にアンケート調査の結果では、95%のビジネスマンが「着ることも仕事のうち」と自覚しているそうだ。とはいえ、できる人ほど仕事が忙しく、ファッション情報をチェックしている暇などないかもしれない。しかし、大事なのは「正しいサイズのスーツを着る。着こなしのルールを覚える」たったこれだけ覚えておけば、やるべきことはそれほど多くはない。
■スーツの「適正サイズ」を自分で見極めるちょっとしたコツ
正しいサイズを把握するにはちょっとしたコツが必要だ。「自分ではちょっと小さいと思うくらいが、適正サイズ。これがスーツ選びの鉄則」なのだという。たとえ高額なブランド品でも、大きめのスーツを着用していると、それだけで緩慢に見えたり、横柄な印象に見えたりすることもある。コンパクトに見えるジャストサイズのスーツを着用すると、フットワークが軽く、仕事でも気が利くような人物に感じるもの。特に今の時代はこういったスピード感が求められている。やるべきは、ブランド選びではなく、サイズ選び。まず、ひとつ下のサイズを試着して鏡に映った自分を観察してみよう。
【適正サイズを見分けるポイント=ジャケットのボタンを留めてみる】
・縦に走るシワが見える → サイズ大きめ
・横向きのシワが出る → サイズ小さめ
・シワが出ない → 適正サイズ!
サイズの見極めは、上記のように意外と簡単だ。スーツを着用しているときの腕の動きといえば、デスクの電話に手を伸ばすとか、電車のつり革をつかむくらいのもの。腕の付け根からグルグル回せるような余裕を取っておく必要はないというわけだ。
■シャツ、ネクタイの選び方はこのルールだけ覚えておけばいい
服装の色づかいやシルエットについても、簡単なルールに沿えばよい。例えば、スーツとシャツとネクタイでつくるVゾーン、気をつかう悩ましいポイントだが、「Vゾーンの柄は2つまで」と、いたって明快。例として、ネイビー無地のスーツ×白無地のシャツ×ネイビーストライプのネクタイ。グレーストライプのスーツ×サックスブルー無地のシャツ×ネイビー小紋のネクタイ。ネイビーストライプのスーツ×ブルーストライプのシャツ×ネイビーソリッド(無地)のネクタイ。いずれも柄は2つ以下。また、ストライプを2つのアイテムに使うときには、ストライプの太さや間隔の幅をアイテムによって変えるのがポイントだ。
「涼しい」だけでなく「カッコよく」過ごしたいクールビズには、ネイビー無地のジャケットがおすすめ。ネイビーは精悍に見える色であるし、スーツの上着よりジャケット単体の方が着心地が快適なものも多い。着こなし方がわからない人は、まず「ネイビージャケット×グレーパンツ」が鉄板。「ジャケットだけだとチャラく見える?」と心配でも、ネイビーとグレーの凛々しくて清潔なコーディネートを見れば安心するだろう。
着こなしに必要なのはセンスではなくルールだ。ルールをひとつひとつ身につけていけば、きっと誰でも素敵なビジネスマンになれる。本書では、着こなしだけにとどまらず、仕事ができる人としての立ち居振る舞いや年代別着こなし例の紹介もあり、ビジネスにおける服装の基本がわからない就活生から50代オーバーのベテランビジネスマンまで、広く頼りになる1冊。本書のコンセプトは「目指すのは“個性のある上級者”ではなく、“知性のある中級者”」。皆さんもぜひ目指していただきたい。
文=高橋輝実