「ギブ&テイク」の時代は終わった! “すきまを突いて”常識を破る、これからの仕事のルール
公開日:2018/9/25
「これからAIにできない仕事ってなんだろう?」「このままの自分でAIに勝てるのだろうか?」…etc.そんなことを考えながらも、目の前にあることに追われて、一日はあっという間に過ぎてしまうものだ。けれど、もしできるのなら、この漠然とした不安な気持ちを解消したくはないだろうか。
『どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール』(尾原和啓/ダイヤモンド社)のなかで、著者は「インターネットが人間をより自分らしくすると信じている」と語っている。
彼は大学院で人工知能を研究した後、マッキンゼー、NTTドコモ、リクルート、ネット企業のケイ・ラボラトリー(現KLab)、グーグル、楽天、さらにベンチャーにも在籍し、現在はシンガポールの投資会社に所属しながらIT批評家としても活躍中だ。
そんな時代の最先端である現場にいた彼の経験や出会った人から学んだ、働き方や人生の広げ方、AI時代の生き方などについて、詳しく話してくれている。そこで、本書の一部をまとめて紹介したい。
まず、タイトルの“どこでも誰とでも働ける”には、2つの意味がある。
(1)どんな職場で働いたとしても、周囲から評価される人材になる
(2)世界中のどこでも、好きな場所にいながら、気の合う人と巡り会って働ける
著者は、シンガポールやバリ島を拠点としつつ、日本に定期的に戻ってくるというのが基本のスタイル。何かやりたいことができるたびに、世界中を訪れて仕事をする。その内容はプロジェクトマネジメントだったり、クライアントの相談相手になったりすることがメインで、日本の会社員と本質的には同じ仕事をしているそうだ。
その生活を続けて3年ほど経過するが、不自由を感じたことはない。ネット環境が十分に整ってきた現在では、PCでのチャットやテレビ通話で、ほぼすべての用が足りてしまうのだ。彼のような働き方をする人はいま、世界中で増え続けている。
■自分からギブすることがインターネット時代の大前提!
仕事においてもはや「ギブ&テイク」の時代は終わった。さらに一歩進めた、「ギブギブギブギブギブ&ギブ」で丁度いいという著者の考え方がある。見返りを求めずに、ひたすら相手のためにギブし続ける、これさえできれば、本当に「どこでも誰とでも」働ける。そして、誰にとっても最もギブしやすく、受け取りやすいのが知識。結局、知識や情報は隠すよりもオープンにしたほうが自分のためにもなり、他の人からも信頼されるから、圧倒的に得なのだ。
■“すきまを突いて”常識の壁を越える!
それまで誰も気づいていなかった問題を発見し、ビジネスチャンスにつなげるコツは、世の中の人たちがやってはいけないと思いこんでいることの「すきまを突く」こと。臨機応変に、「それってこういうことだよね」とそもそもの本質に立ち返って考える力が必要になる。
たとえば、あるキャンペーンで「かけられるコストは100万円以下」という制約条件を与えられたときに、「その100万円以下というのは本当に制約条件なのか?」と疑ってみる。そうした姿勢が身についていると、解決すべき課題も見えてくるだろう。
いまいる会社のなかで、当たり前すぎる「暗黙の了解」や「職場のルール」を疑ってみると、思わぬ切り口が見つかる可能性もある。「数値目標」も、それが意味するところを掘り下げてみると、別の説明が成り立つかもしれない。そうした発見が、組織やルールを変える突破口になるのだ。
■ゴールを共有して、一緒に大きなことを成し遂げる
今の自分にとってのゴールは、不変ではない。どんどん上書き、最適化される。お互いが自分事として高め合える距離にある共通の目的を探っていく。変化する世の中では、ゴールは1つとは限らない。複数の引き出しをもっていれば、新しく出会った人たちとのゴールも見つけやすくなっていくのだ。
このように本書では、著者の実体験に基づいたメソッドを学ぶことができる。これからの時代に生き残るためのヒントがきっと見つかるはずだ。ぜひこの機会にしっかりとチェックしてほしい。
文=Sachiko