読書習慣がない子は勉強しても平均以下の成績しかとれない!? 本と学力の深い関係

出産・子育て

公開日:2018/9/26

最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる
『最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる』(松﨑 泰、榊 浩平:著/川島隆太:監修/青春出版社)

「読書習慣がない小中学生の多くは読書習慣のある子と比べ、試験の成績が平均以下になっています」――そんなショッキングな科学的事実を突き付けるのが、『最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる』(松﨑 泰、榊 浩平:著/川島隆太:監修/青春出版社)だ。本書は脳と読書、そして脳と読み聞かせの深い関係に迫った、斬新な検証本だ。

 近年はスマートフォンを持つ小中学生も増えてきており、若者の活字離れが不安視されている。小さな頃から本に触れさせるのが良いことだと分かっていても、仕事や家事に忙殺されていると、我が子に読み聞かせを行ってあげることは難しいのもわかる。しかし、読書と成績アップには深い繋がりがあるため、読書習慣を築き上げていけば、我が子の将来の可能性を広げることができるかもしれないという。

 では、小中学生4万人の脳解析データにより判明した“読書と成績の関係性”とはどんなものなのか、詳しく見ていこう。

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■本は読めば読むほど賢くなれるのか?

 本を読むとさまざまな知識が身につく。だが、「本当に頭が良くなるのだろうか…」という疑問を抱く方もいるのではないだろうか。その疑問を解明すべく、本書内では東北大学加齢医学研究チームの研究成果を中心に、国内外の最先端の脳科学研究で分かった「科学的根拠」に基づき、読書と学力の関係が分かりやすく解説されている。

 研究によれば、平日に本を読む子はまったく本を読まない子よりも成績が高いことが分かったが、2時間以上読書をする子は1~2時間読書をしている子よりも成績が落ち込んでいる傾向があるという興味深い結果も得られた。そこで著者らは「2時間以上読書をする子どもは、その時間と引き換えに他の活動時間を削っているのでは」と考え、その仮説を検証すべく、今度は読書をしながらも勉強時間と睡眠時間をしっかりと確保している子どもたちに焦点を当て、成績との関係性を調べてみた。すると、勉強や睡眠時間を確保できている子は予想通り、読書を長時間するほど成績が高くなっていることが分かったのだ。

 この結果は、読書を我が子にさせたいと思っている親御さんに重要なことを教えてくれる。それは、学力を伸ばすには「読書以外の活動時間も大切にしなければいけない」ということだ。長時間、読書をさせることはよいことだが、勉強時間や睡眠時間などを削ってしまうと、本末転倒な結果になってしまう。

 素敵な本との出会いをより有効に活用するため、我が子が伸び伸びと読書できるように気を配っていきたい。

■漫画で学力はアップする?

 親御さんの中には我が子に漫画を読ませてもよいのだろうか…と悩む方もいるだろう。漫画はフランクな表現が用いられていることもあるので、親としては子どもが汚い言葉づかいを覚えはしないだろうかと不安にもなってしまう。

 しかし、実は漫画の言葉はほぼ文法的に正しく、汚い言葉も少ないことが研究によって明らかになっている。さらに、言語発達にマイナスの効果を与えることもなく、一般的な本へ興味を持つきっかけになることもあるのだという。

 我が子には漫画よりも絵本や小説を読んでほしいと感じるかもしれないが、本当に重要なのは選ぶ本のジャンルではなく、我が子に合った難易度の本であるかどうかだ。子どもが読書を始めたばかりの低学年である場合は、まずたくさんの本を読む習慣を築いていくために、簡単な本を与えてあげるのもよいだろう。

 我が子の成績を伸ばすには、本に対しての苦手意識をなくす必要がある。そのために親は子どもが読みたい本に触れられるよう、読書を楽しめる環境作りを行ってみてほしい。

 本書内では、読書の効果を高める読み方の解説や、読み聞かせの効果なども詳しく記されている。本は長い目で見ると、人生の友になってくれるもの。ぜひ小さな頃から読書の楽しさを我が子に教え、より豊かな人生を歩めるよう、サポートしていってみよう。

文=古川諭香