放っておくと脳梗塞・心不全になることも…気になる“脈の乱れ”とのつきあいかた
公開日:2018/9/28
突然跳ね上がる鼓動。胸の高鳴り。もしかしたらその裏には深刻な病が隠されている可能性もある。ちょっとでも心臓の動きに不安がある人は、山根禎一氏監修『不整脈・心房細動がわかる本 脈の乱れが気になる人へ』(講談社)を読んでみてはどうだろうか。心臓がドキッと跳ね上がるような感じや早打ち、乱れ打ちするような不快な拍動を感じる状態は「不整脈」と呼ばれる。この本では、気になる不整脈の治しかた・つきあいかたをひと目でわかるイラストを交えて徹底解説。自分の不整脈のタイプ・種類を知り、心臓に何が起きているのか、放置することで何が起こりうるのかを理解することができる。
通常、大人であれば、心臓は、安静時で1分間に50~90回程度拍動している。この拍動は心臓の筋肉、心筋が収縮をくり返すことでつくりだされるが、心筋に命令を送る電気信号に問題が生じると、心臓の動きに乱れが生じ、不整脈となる。これは、健康な人でも1日のうちに数十回は起こるもの。だが、1日に何度も不快な症状に見舞われたり、安静時の脈拍数が多すぎたり、少なすぎたり、めまい・失神を生じたりする場合は、治療の必要がないのか、医療機関で調べてもらった方がいいだろう。
狭心症や心筋梗塞などの心臓そのものの異常、甲状腺の病や高血圧、糖尿病、喫煙の習慣…。不整脈の原因はさまざまだが、中には、命を脅かすほどの危険がある場合もあるから注意が必要だ。中でも脳梗塞の原因になる心房細動は、放っておかない方がよい不整脈の代表格。年齢が高い人ほど起きやすい不整脈で、放置しておけば悪影響が現れやすく、治りにくい。高齢化社会の日本では100万人を超える人に心房細動があると言われているのだから、中高年にとっては決して他人事ではない不整脈だ。従来、心房細動は治らない病気と言われてきたが、2000年代以降、心臓の乱れを引き起こす電気異常のもとを絶つカテーテルアブレーションが急速に普及し、完治を目指すことができるようになってきた。大切なのは早期発見。気になる症状があるならすぐに病院に行こう。
「私は健康診断で問題ないと言われたから大丈夫」と思う人もいるだろうが、不整脈は早期の段階ではたまにしか起こらず、年1回の健康診断では見逃されてしまうことも少なくない。そこで少しでも気になる症状があるなら、習慣づけたいのが、毎日の「検脈」、脈拍のチェックだ。特に参考になるのは、自覚症状が現れたときの脈拍数や脈のリズムの様子。自分の指で手首に手を当てて脈をとることや、無料のスマホアプリで脈拍数のほか、脳波も計測できるから試してみると良い。セルフチェックが自分の不整脈を知るための第一歩となる。
この本では、すぐに医療機関に相談すべき進行性の心房細動から心配のいらない脈の乱れまで、さまざまなタイプの不整脈について紹介されている。ベストな対応、ベストな選択ができるように、この本で不整脈に対する正しい基礎知識を身につけてはいかがだろうか。
文=アサトーミナミ