「売れる」と「売れない」の違いは何? 素朴な疑問から生まれた本

ビジネス

公開日:2018/10/1

『キッチンで読むビジネスのはなし 11人の社長に聞いた仕事とお金のこと』(一田憲子/KADOKAWA)

 たとえば、自分がある商品の開発者だったとして、「売れる!」と思って作ったのにまったく売れないことがあるのはなぜなのだろうか? さらに言えば、世の中に売られている商品はすべて「これなら売れる」と思って作られているはず。それなのに、売れている商品と売れていない商品があるのはなぜなのだろうか?

 こんな素朴な疑問から始まったビジネス書が『キッチンで読むビジネスのはなし 11人の社長に聞いた仕事とお金のこと』(一田憲子/KADOKAWA)である。著者は、ムック「暮らしのおへそ」シリーズや、「大人になったら着たい服」などを手掛ける、暮らし系の編集者・ライターの一田憲子さん。
 ビジネス書とは無縁だった一田さんが、仕事やお金のことを見直すことになったのは、ここ数年のことだという。

「私はフリーランスで働いていますが、お金のことはどんぶり勘定でした。基本はいただいた仕事をこなすスタンスだったので、好きなことをして暮らせるならいいと思っていたし、そんな私にビジネスや経営という知識は必要ないと思っていました。でもさまざまな人にインタビューをし、雑談の合間にその方たちの仕事の話を聞いて、もしかしたら経営やお金の知識を持つことで暮らしがより良く変わるのではと思った。さらに、何かやりたいことをやるのにお金は必要です。もっと明るい気持ちでお金にも目を向けようと思ったんです」

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 そこで一田さんは、自らが愛用する商品やサービスを提供する11人の社長に、「ビジネスについてまったく知識のない私に、ビジネスとお金のことについて教えてください!」と直談判。そうしてまとまったのが本書である。本の中では、成功者である社長たちに、「万人ウケする商品といい商品はイコールなんでしょうか?」とか「すでにその商品を持っている人たちに新たに買ってもらうにはどうしたらいいでしょうか?」など、率直な疑問を投げかけている。

「そうして話を聞いてみたら、目からウロコの連続でした。そして、仕事やお金について知ることで、人は精神的にも豊かになれることを知りました。また、経営のセンスを持つことで、いまの仕事にさらに前向きに取り組めるようになるはず」

 本の中では、各社長のインタビューのあとに「◯◯さんのビジネスアンテナを私の暮らしに取り入れてみたら」と題して、こういうことを取り入れてみたらあなたの暮らしや働き方が少し変わるかも?という提案をしている。

「いわゆるビジネス書は敷居が高くて苦手、という人にこそ読んでほしい本です。なんせ、知識ゼロの私が書いたのですから。キッチンで読む、というタイトルも、ことこと煮物を煮ながら、暮らしの本のように読んでほしかったから。ビジネスやお金のことに目を向けることで、あなたの暮らしが少し豊かになるかもしれないよ、というメッセージが伝わればうれしいです」

著者紹介
一田憲子

編集者、ライター。OL生活を経て、編集プロダクションに転職後、フリーライターとして数々の書籍や雑誌で執筆。ムック「暮らしのおへそ」「大人になったら着たい服」(ともに主婦と生活社)では企画から編集までを担当。独自の視点や切り口で取材者を丁寧にインタビューすることに定評があり、たくさんの読者から支持されている。自身のホームページ「外の音 内の香(そとのね、うちのか)」でも、暮らしの知恵を綴っている。