たった3分でOK! ストレスを感じた時に実践したい「4・4・8呼吸法」って? ハーバード発、集中力を最大化する“超呼吸法”

健康・美容

公開日:2018/10/3

『ハーバード&ソルボンヌ大学根来教授の 超呼吸法』(根来秀行/KADOKAWA)

 多忙のあまり休息の時間もとれない。がんばる気持ちはあるのに集中力がついていかない。プレゼンで緊張しすぎて日頃の成果が発揮できない……。ビジネスパーソンならば、一度は経験する悩みではないだろうか? 『ハーバード&ソルボンヌ大学根来教授の 超呼吸法』(根来秀行/KADOKAWA)によれば、このような悩みは正しい呼吸法を行うだけで解消できるという。

■大リーガーからもアドバイスを請われる

 ハーバード大学やソルボンヌ大学などで、最先端医療の臨床・教育・研究に携わる著者の根来氏にとって、時差のある日・米・欧を飛び回るのは日常茶飯事。分単位で仕事をこなすことも少なくないなか、体調やモチベーションをキープするために、呼吸法は自身でも積極的に実行していること。さらに、メジャーリーガーをはじめとしたトップアスリートや、顧問を務める数々の企業トップにも本書で紹介している10の呼吸法の指導することで、彼らのパフォーマンスアップに貢献しているという。確かに本書を読むと、呼吸が心身の活動を想像以上にコントロールしていることがよくわかる。

■IT化による姿勢の悪化が危険な理由

 呼吸が酸素の供給源であることは誰もが知っていることだ。しかし大切なのは日常的に呼吸と呼んでいる「肺呼吸」よりも、むしろ、そのあとに血管内で行われる「細胞呼吸(内呼吸)」だという。ヒトは、60兆個ほどもある細胞の集合体。その細胞に滞りなく酸素を届け、二酸化炭素を回収する細胞呼吸によるガス交換が停滞すると、とたんに脳は酸欠をおこし、体調は悪化。ダルい、集中力が続かない…などは、実は細胞呼吸の停滞が原因なのだ。

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 そんな大切な細胞呼吸だが、スムーズにおこなうには、日常呼吸の見直しが不可欠だという。とくに注意したいのが、いわゆる「浅い呼吸」。呼吸が浅いと呼吸回数が多くなって二酸化炭素濃度が下がりすぎ、その先の細胞呼吸が十分に機能しなくなるという。その原因のひとつには「IT猫背」といわれるPC・スマホ姿勢が挙げられる。呼吸を整えるには姿勢も大切というわけだ。

■自律神経を意識的にコントロールできるのは呼吸法だけ

 さらに、多忙な人ほど陥りやすい交感神経優位の生活にも注意が必要だ。交感神経が上がりっぱなしになることでも細胞呼吸は滞るため、体の修復・再生が進まず、疲れをますますため込むことになる。この悪循環を断ち切るためには、副交換神経のスイッチを入れる呼吸法によるブレークタイムを設けることが欠かせない。

 このように本書には、根来氏自身が医師ならではの立場から、在籍するハーバードの研究室などで検証を重ねて導きだした「10の呼吸法」と、日常的に気をつけるべき「呼吸の極意」が紹介されている。

■思い立ったらスグにできる手軽さ

 多忙な人にとって呼吸法は、思い立ったらすぐ実践でき、特別な道具も必要としないので、最適な健康法といえるのではないだろうか。
 たとえば不安や怒りなどのストレスを感じたときに気持ちをすっぱりリセットしてくれる「4・4・8呼吸法」。これをわずか3分程度続けるだけで、緊張・興奮を引き起こす交感神経の暴走をくい止め、気持ちを落ち着かせることができる。


 他にも、脳波のサイクルに合わせて取ることで、集中力をとぎれさせない呼吸法や、アメリカの軍隊や警察がメンタルコントロールのため採用している呼吸法、姿勢を支える呼吸筋を鍛える呼吸法など、自分の状態にあわせて、適宜ピックアップできるラインナップで紹介されている。

 呼吸は、自律神経のコントロールを唯一、意識的に行える生理機能。だからこそ呼吸の仕方を変えるだけで、脳疲労やメンタル、ホルモン分泌などまでコントロールが可能になる。つまり、24時間ノンストップで行う呼吸を見直すことによるメリットは、計り知れないといえる。この最先端医療から生まれた「超呼吸法」、試してみる価値十分なのではないだろうか。

著者プロフィール
根来 秀行(ねごろ ひでゆき)
東京都生まれ。医師、医学博士。東京大学大学院医学系研究科内科学専攻博士課程修了。ハーバード大学医学部客員教授、ソルボンヌ大学医学部客員教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、最先端の臨床、研究、医学教育で国際的に活躍中。