「自分に期待しない」勇気を持つ。「すぐやる人」になる究極の方法
公開日:2018/10/4
仕事、勉強、スポーツ、ダイエット……これらは、いざ「やろう!」「続けよう!」と思っても、つい先送りしてしまったり、途中でやめてしまったりすることも多い。でも、これらを心理学に基づいて実践すれば、「自分は意思が弱いし……」と思いがちな人でも驚くほどスムーズに最初の一歩を踏み出せるという。先日刊行された『イラスト図解 先送りせず「すぐやる人」になる100の方法』(KADOKAWA)は、「すぐやる人」、そして「やりぬく人」に変わるための方法を図解入りで解説する一冊だ。
今回の記事では、人間誰しもが思いがちな「未来の自分に期待してしまう」傾向について、「想像」と「現実」の違いから導き出された適切な考え方をわかりやすく説明しよう。
未来の自分は、いまの自分よりも有能で素晴らしい
すぐに行動できない人の口ぐせは「あとでやる」、ですよね。
この「あとでやる」という気持ちの裏には、「あとでならできる気がする」「あとでやったほうが速くできるはず」という気持ちがあります。
でも実際は、そんなことはありません。あとでやったところで、自分の才能も状況もほとんど変わらない「いま」が再びやってくるだけです。
なぜ、あとでやっても変わらないのに、人は「先送り」してしまうのでしょうか。
心理学者ダニエル・ギルバートの著書に『幸せはいつもちょっと先にある』(早川書房)というものがあります。タイトルの通り、私たちにとっての幸せは「いま」ではなく、つねに「ちょっと先」にある、という内容です。
人の「想像」は、つねに「現状」よりも彩られています。だから、未来はつねにいまよりも良く、未来の自分はつねにいまの自分よりも有能で素晴らしい。人の心理には、そう思いがちな傾向があります。
しかし、それは残念ながら、ただの「錯覚」にすぎません。その「未来」が「現在」になったとき、目の前にあるのは「大きくは変わっていない現実」。答えの出ない考えごとや手につかない仕事も、ほぼそのまま現れます。
なぜ、現状は変わらないのに「未来の自分」に期待してしまうのでしょうか。それは、「自我を守ろうとする正常な心理的機能」が働くからです。
「未来の状況はいまよりもベター」と思えるからこそ、人は生きていける、といえるでしょう。人間は基本的に、楽観的な動物です。希望があるから生きる。「よりよくなる」と思うから、働くのです。
昼の仕事を夜に回すのは、「夜型だから」「電話などの邪魔が入らないから」ということもありますが、多くは「未来の自分なら何とかなりそう」という心理から生じる行動です。
未来の自分が行動しやすいようにしておく
こうした「先送り」の心理が発生するのは、仕方がないことかもしれません。
ただ、大切なことは、「ちょっと先の状況」がベターになるように手を打っておくということ。つまり、未来の自分が「すぐに取りかかれる」ように準備をしておけばいいのです。
未来の自分が手をつけやすくしておくことで、本当の意味で「幸せはいつもちょっと先にある」状態を実現できるのです。
【著者プロフィール】
佐々木正悟
心理学ジャーナリスト。1973年、北海道旭川市生まれ。1997年、獨協大を卒業後、ドコモサービスで働く。2001年、アヴィラ大心理学科に留学。同大卒業後の2004年、ネバダ州立大リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年、帰国。帰国後は「効率化×心理学」の「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演でも活躍中。
イラスト図解 先送りせず「すぐやる人」になる100の方法
佐々木正悟/KADOKAWA
物事を「すぐやる人」「やりぬく人」に変わるための方法がすぐわかる!――仕事、勉強、スポーツ、ダイエット……これらはいざ「やろう」としてもつい先送りしたり、途中でやめることも多い。でも、これらはみな「心理学」に基づいて実践すれば驚くほどスムーズに解決可能。本書は、その方法をイラスト図解入りでわかりやすく伝授する一冊!