どんどん進化中! イマドキの「旅をしてでも行きたい街の本屋さん」って?
公開日:2018/10/6
昔から“喫茶店で読書”は、みんなやっていましたね。でも、まさか“本屋さんで喫茶”ができ、しかもトークイベントや宿泊を目的に書店へ行く時代が来るなんて、誰が想像したことでしょう。このように近年、独特でユニークな本屋さんが日本各地に誕生しています。
『全国 旅をしてでも行きたい街の本屋さん』(ことり会・荒井宏明・和氣正幸・佐藤実紀代・イソナガアキコ ・田端慶子・アイデアにんべん/ジービー)は、日本全国を「関西」「北海道・東北」「関東」「中部」「中国・四国」「九州・沖縄」のエリアに分け、唯一無二の魅力が詰まっている「街の本屋さん」を紹介する1冊です。
本書の執筆は、各エリアの書店・出版事情に精通しているライター陣が担当しています。エリアの冒頭ページはその地域の本屋さん全体の動向が記載されており、地域の特色がよくわかります。次ページからのお店の紹介では、本屋さんのプロフィールだけではなく、エピソードや豊富な店内写真から空間の雰囲気までもが伝わってきます。
ガイドブックとして、置かれている本のジャンルが明記され、そして新刊書店なのか、古書も扱うのか、飲食メニュー、本以外のグッズ、イベント開催の有無などもイラストのマークから、一目でわかるようになっていて便利です。アクセスも地図とともに、本屋さんの目印となるものや建物の特徴などが表記され、初めて訪れる人にも親切な案内となっています。また、エリアの最終ページには「地元の大きな本屋さん」として、地域で広く知られている老舗書店も複数紹介されています。
では、個性的な本屋さんをいくつか紹介しましょう。大阪市北区にある「珈琲舎・書肆アラビク」はカフェも併設している本屋さん。ジャンルは近代文学や美術書とのことですが、「アーティストドール専門誌のバックナンバー」を扱うようになって、さまざまな人形もギャラリーに置かれることになったそうです。店名の由来は“日本三大奇書”に数えられている『虚無への供物』から。ちょっぴりミステリアスな空間で、本を読みながらのお茶の時間を過ごすのも楽しそうです。
次は、香川県高松市から「本屋ルヌガンガ」です。不思議な店名の由来や想いはぜひ、本書で確かめていただきたいと思います。ジャンルは文芸・人文書、暮らしの本、絵本などですが「話題書やベストセラーではなく、店主の慧眼で良書を選ぶ」とのことです。店内にはドリンクの用意があります。こちらの本屋さんはトークイベントや読書会も開かれているので、掲載してあるホームページでイベントを調べてから訪ねてみるのもよさそうです。
他にも宿泊できる本屋さんとして、大阪のドミトリータイプのホステル「THE DORM HOSTEL OSAKA」、今年の8月、箱根・強羅にできたばかりの「箱根本箱」、“築125年の町屋を改築、一棟貸し”の金沢「INTRO玉川」、“築110年古民家を改装”した佐賀県北・古湯にある「泊まれる図書館 暁」などが紹介されています。ゆっくり滞在型で読書三昧できる本屋さんが各地に続々と増えているようです。
秋の観光シーズン。少し遠くの「街の本屋さん」で新たな人や本に出会う旅をしてみませんか。
文=小林みさえ