「問題児」は金の卵だ! カリスマ教育コンサルタントが教える、才能を開花させる勉強法って?

出産・子育て

公開日:2018/10/12


 落ち着きがなく衝動的、感情の起伏が激しい、忘れ物が多い、空気が読めない、人の話を最後まで聞かない、同じ失敗を何度も繰り返す――そんな「すばらしい才能」をつぶしてはいけない! 受験のプロとして多くの子どもに携わってきたカリスマ教育コンサルタント・松永暢史さんは、そう断言する。

「こういう子どもは、学校の中では浮きがちです。教室で求められるのは協調性や従順さ、規律を守ることだからです。でも、問題児とされる中にはズバ抜けた才能を持つ子どもが少なくありません。『フツーの人』が足元にも及ばないひらめきや行動力を武器に、時代の先頭を切って進んでいくパワーを持っています。大切なのは、絶対にコンプレックスを与えないということ。ズバ抜けた問題児を矯正しようなどと思わないことです」

 松永さんは、中学校に入るころまでは勉強に血道を上げるよりもとことん遊ぶことが大切だ、と言う。ただし劣等感を抱かせないためには、勉強すべき時期になったときに遅れをとらないようにしておく必要がある。特に大切なのは国語。数学も理科も、日本では日本語で学ぶからだ。教室でジッと座っているのが苦手な「問題児」が楽しく学んで国語力をアップさせる方法とは……?

advertisement

■漢字を覚える

 練習ノートに毎日漢字を10回ずつ書く――落ち着きがなくて思考があちこちに飛ぶような子は、これが苦痛でたまらない。では、どうするか。

(1)じーーーーーーーっとよく見て1回だけ書く
 漢字を網膜に焼き付けるようにじっと見る。それから頭の中でその文字の形をよみがえらせ、頭の中で再び見つめる。くっきりと像が浮かんだら、1回だけ丁寧に書いてみる。たいていの漢字はこれで覚えられてしまう。

(2)漢字の形を言葉で説明する
「日と月が並ぶと明るい」「山の上下が峠」などと、言葉で考える。その文字の成り立ちがわかってくるから理解しやすく、覚えやすい。

(3)漢字の成り立ちについて書かれた本を読む
 たとえば「道」という字は、闘いに勝った人が敵の首を持って進んだ様子から作られた、などと知ると、「道」という字がやけに恐ろしく感じられる。こうなると絶対に忘れない。

(4)覚えた漢字を使って遊ぶ
 ある漢字を覚えたら、そこから思い浮かぶ別の漢字を挙げてみる。「大」なら、反対の意味の「小」。あるいは、「大」という文字の中に隠れている「一」や「人」。

 問題児と言われるような子は新しいことを考えるのが大好きなので、覚え方コンテストとして記憶法を考えさせると、思いもよらない斬新なアイディアを繰り出してくるかもしれない。


■作文を書く

 作文とは、雑多な記憶や考えの断片を拾い集めて、つなげて文章にしたものだ。作文をうまく書くには、テーマに沿った言葉やイメージをどれだけ頭の中から掘り起こせるかが重要になってくる。

【頭に浮かんだ言葉を大きな紙に書き出す】
 たとえば遠足の作文を書くとする。ここで用意すべきは大きな紙。真ん中に「遠足」と書いて丸で囲んでおこう。その周辺に、思いついた単語を片っ端からメモしていく。どんぐり山公園、おべんとう、おにぎり、卵焼き、噴水、おじいさん、おやつの奪い合い、足が長くてかっこいいお姉さん、手がドロドロ……。「ほかには何を見た?」「もうないかな?」と、どんどん言葉を引き出していこう。最後に「で、遠足はどうだったの?」「疲れたけどチョー楽しかった!」紙の下にはそれを大きく書いておく。


【メモした言葉の断片をつなげていく】
 すべて書き出したら、次はそれをつなげていく。テーマは「遠足はチョー楽しかった」。紙に書き出した言葉を見ながら、使うエピソード、捨てるエピソード、感想を入れてふくらませるエピソードなどを選び取っていく。

4年生の遠足は、どんぐり山公園でした。公園の中には大きな噴水があって、山田くんと水の掛け合いっこをしました。手がドロドロになって先生に注意されたけど、手を洗ってからまたやりました。何度もやっていたら、そばを通りかかったおじいさんに「楽しそうだねえ」と言われました云々……遠足は、とても楽しかったです。

 紙に言葉を書き出してから作文にするのは、頭の中で文章をひねりながら書くのにくらべて圧倒的にラクなやり方だ。しかも、頭の中の情報を全部書き出してから凝縮しているので、内容が濃い。最初は「これを書き出しの言葉にしようか」「ここは同じ話だから削ろう」などと、親が手伝ってあげればいい。コツをつかめば自分で書けるようになってくる。作文の名手の誕生だ。

 松永さんは「ズバ抜けた問題児は金の卵。育てるのは楽じゃないけど、面白い!」と言う。フツーの人にはない才能を持って生まれてきた子どものすごさを引き出してやれるのは、その成長に伴走する親にほかならない。


著者プロフィール
松永暢史(まつながのぶふみ)

1957年生まれ。慶應義塾大学文学部卒。教育環境設定コンサルタント・V-net教育相談事務所主宰。多動で衝動的なADHDタイプであるために、「和を乱す問題児」として学校生活を送る。高校受験に際して、成績アップの方法を模索。一律的な教育に向かない自らの体験を踏まえ、勉強のプロ・受験のプロとしてさまざまな学習法を開発し、教育コンサルタントとして講演活動、執筆活動を行っている。