【東大生正答率0%】「弘法にも筆の誤り」、間違えた字は何?「東大脳」に近づける無敵のクイズ本!
公開日:2018/10/6
一冊の本でたくさんのクイズを解きたい、という人に朗報! 330問という圧倒的なボリュームを携えたクイズ本『無敵の東大脳クイズ』(主婦の友社)が登場し、クイズ好きの間で話題になっている。監修したのは、現役東大院生でありクイズプレイヤーの伊沢拓司さんだ。
伊沢さんといえば、“東大の知識モンスター”という異名を持ち、クイズ番組『東大王』などのテレビ番組に出演するほか、YouTuberとしても活躍。圧倒的な知力だけでなく、ウィットに富んだトーク力を持ちあわせ、タレント的な人気を得ている。これまでに何冊ものクイズ本を手がけているが、本書は「ここまでのトレーニングブックはなかった」と自らが語るほどの自信作。他のクイズ本とはどこが違うのか? その魅力を紹介していきたい。
■まずは問題を解いてみよう
以下は、本書に出てくる問題の一部。何問解けるだろうか?
<問題1>
漫画『サザエさん』で、サザエさんの名字は何?
※東大生正答率65%
<問題2>
食指が動くの食指ってどの指のこと?
※東大生正答率75%
<問題3>
「弘法にも筆の誤り」のもととなった、弘法大師が間違えた字は何?
※東大生正答率0%
問題1の答えは「フグ田」。「サザエさんはもともと磯野家の生まれだが、マスオさんと結婚して名字がフグ田に変わっている」と解説されている。“意外と見落としがちな日常知識”として紹介された、この設問。誰もが知る国民的アニメだが、サザエさんの名字は「磯野」と答えてしまったのは筆者だけではないだろう。
問題2の答えは「人さし指」。解説には「中国の『春秋左氏伝』に登場する子公という人物が、自分の人さし指が動いたことを“おいしいものを食べられる兆候だ”と言ったことにちなむ表現」とある。この設問は、“クイズ番組に出そうな問題”として紹介されている。多くのクイズ番組で経験を積んだクイズ王・伊沢さんだからこそ考えられるクイズである。
問題3の答えは「応(應)」で、「『応天門』という門の名前を書く際に1画目を抜かした」と解説されている。これは、クイズ王になるために必要な、一歩深く、奥まで知っていることを求められる設問。この問題が掲載されている章では、その他旬なスポットやブームなど、世の中の動きに敏感でないと答えるのは難しいものも。もし解けたなら、クイズ王へのゴールは近い!?
■練りに練られた330問で東大生とバトル!
本書で伊沢さんが何よりもこだわったのが、330問というボリュームだ。1ページに10問載っているようなページもあって、クイズ好きはニンマリしてしまうはず。出題と回答がシンプルに繰り返されるという、集中力を途切れさせない構成で、中にはクイズ番組のようにイラストや写真を使った問題も。これに一瞬で回答するクイズ王のすごさに驚かされる。
クイズの内容は、クイズ王に近づけるものから日常で役立つものまで、さまざまだ。ジャンルも幅広く、「ことば」「カルチャー」「スポーツ」「雑学」「理系」「社会」「ライフ」「ホット」などをカバー。ジャンル別になっているから、得意・不得意分野を意識しながら、より脳力を高めることができる。難易度に偏りがなく、子どもから大人まで楽しめるのもポイントだ。
設問ごとに、クイズ研究会などに所属していない約50名の現役東大生による正解率が表示されているのも見逃せない。日常知識やホットな話題など、東大生の正解率が低めの設問なら、“東大生に勝った”とホクホクすることも! 330問すべて解くことができれば、東大生以上の“東大脳”が手に入りそうである。
伊沢さんによると、これまでの書籍では「見やすさ」や「とっつきやすさ」を意識してきたが、今回はとにかく数を増やすことにこだわったという。クイズに強くなるには、やはり数をこなすことが重要。クイズ王を目指すわけではなく気楽にクイズを楽しみたい人にとっても、クイズに強くなることで楽しめる世界が広がるそうだ。圧倒的なボリュームと、一問一問のクオリティの高さ。空前のクイズブームだからこそ、このような密度の高いクイズ本が求められるのではないだろうか。
■覚えやすく工夫された解説がミソ
伊沢さんは、クイズ王を目指す人だけでなく、「覚えるのが苦手な人」にも、脳トレ本として本書を手にとってほしい、と語っている。脳を刺激して活性するような問題が揃っているし、解説には印象に残りやすいような工夫が凝らされているという。
クイズにとって解説は肝心。解説を読むことで「なるほど!」とその回答が腑に落ちることは多いからだ。クイズで考えることを楽しみ、解説で知識欲を満たす。ひたすら問題を解いていくだけの脳トレ本にはない楽しさだろう。説明上手でトークが面白いと言われる伊沢さんの手腕が存分に発揮された解説は、間違いなく、本書の重要なポイントである。
知識欲をそそられるような興味深い問題が多いため、答えを知れば人にも話したくなる。人に話すことができれば、その知識のインプットは盤石なものになるはずだ。「覚えるのが苦手な人」だけでなく、コミュニケーションのきっかけになるような話のネタを知りたい、という人にも役立つだろう。
■クイズ王になれた理由に迫るインタビューも
伊沢さんのポートレートも随所にはさまれていて、ファンにはたまらない一冊となっている。インタビューでは、クイズ王になれた最大の理由が語られているほか、青春時代に影響を受けたカルチャーなどパーソナルな魅力にも直撃。誰よりもクイズが好きで、才能だけではなく、努力によってその実力を勝ち取ったのだということが伝わってくる。東大生というブランドだけでなく、クイズを楽しみたい人たちに丁寧に向き合うその人柄にも、ぜひ触れてみてほしい。クイズ王を目指す人にとっては、どうしたらクイズに強くなれるのか、それを探るヒントにもなるはずだ。
世の中の出来事を多角的に見つめる伊沢さんが、情熱的に取り組んだからこそ完成した究極のクイズ本。知識、思考力、脳力を身につけて“東大脳”に近づけるのはもちろん、人としての密度をグッと高めてくれそうな一冊である。
文=吉田有希
写真=伊藤彰浩(COiL management)