飲食店の卓上で見つけた「箸袋アート」 北海道から沖縄まで1万点以上を蒐集!

文芸・カルチャー

公開日:2018/10/6

『箸袋でジャパニーズ・チップ! テーブルのうえで見つけたいろんな形』(辰巳雄基/リトルモア)

 居酒屋のカウンターで、ふと手遊びで折られた「不思議な形」の箸袋を見かけたことはありませんか? 箸袋でつくられた自作の箸置きや、丁寧に折り畳んだ花や星のようなおもしろい形。『箸袋でジャパニーズ・チップ! テーブルのうえで見つけたいろんな形』(リトルモア)の著者・辰巳雄基氏は、この多種多様な形をした箸袋を、お客さんの「ごちそうさま」が込められた“チップ”のようだと気になって、日本中の飲食店の卓上に残された愉快な「ジャパニーズ・チップ」を蒐

集してきた人物です。北海道から沖縄まで軽自動車で1年をかけて47都道府県を回り、協力してくれる店を探して集めた箸袋の点数はなんと1万3000点。居酒屋、食堂、喫茶店…誰かが折って残した箸袋の造形物はどれもアート作品のようで、見ているだけで実におもしろいものです。厳選の700点が本書では紹介されています。

■テーブルの上で見つけたいろんな形を眺めてみると

 シンプルな形に丁寧に折り畳まれた幾何学的なものから、もうどう見ても素人技とは思えない精巧なテクニックで(?)つくられた人型や、動物たちまで。本書では、箸袋のタイプ別に分けて紹介してくれますが、ひとくくりに「鳥」を模して折られた箸袋も、その形状や印象はどれもバラエティに富んでいます。

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 いったいどうやってこんな形になるように折られたのだろうと、不思議で仕方がないものも多いはず。本書には、よく見かける一般的な箸袋を利用して折る「エビフライ」や「ウマ」「キリン」「ダックスフント」などの動物など、折り方を写真で解説するページも用意されています。これを習得して、次は自分がお店に「ごちそうさま」を残してくるのも、楽しい経験になりそうです。

■箸袋でつくられた「ジャパニーズ・チップ」を実際に見られるイベントが開催中!

 本書で紹介されている多種多様な形をした箸袋の現物が展示されるイベントが、東京都内の2会場、および京都でも同時開催中です。ひとつひとつ全国の人たちによって折られた箸袋の造形は、並べて見ると圧巻です。ぜひ足を運んでみては?

辰巳雄基『箸袋でジャパニーズ・チップ!』刊行記念
「ジャパニーズ・チップ展 テーブルのうえで見つけたいろんな形」

■ in 池袋〈ジュンク堂書店池袋本店〉
会期:2018年10月2日(火)~ 16日(火)
会場:ジュンク堂書店池袋本店9Fギャラリー(東京・池袋)
入場:無料
[会場・問合せ先]
東京都豊島区南池袋2-15-5
tel. 03-5956-6111
https://honto.jp/store/detail_1570019_14HB320.html

■ in 荻窪〈Title〉
会期:2018年10月4日(木)~ 21日(日)
会場:Title 2階ギャラリー(東京・荻窪)
入場:無料
[会場・問合せ先]
東京都杉並区桃井1-5-2
tel. 03-6884-2894
http://www.title-books.com/

■ in 京都〈ホホホ座〉
会期:2018年10月1日(月)~28日(日)
会場:ホホホ座 ねどこ1階 浄土寺センター(京都・左京区)
入場:無料
[会場・問合せ先]
京都市左京区浄土寺馬場町2-7 (ホホホ座浄土寺店ななめ前)
http://hohohoza.com/news/3427

 著者は、この9月に韓国で開催された「2018 箸フェスティバル」に招待され、特別展示とワークショップを行ったばかり。東京展のあとは、フランス・パリ、ブラジルと展示は続く予定です。世界中から注目を集める「箸袋アート」から目が離せません。

文=田坂文