「物事を先読みする」視点を持つ。「すぐやる人」になる大切な方法

ビジネス

公開日:2018/10/12

 仕事や勉強、ダイエットに習い事……これらは、いざ「やろう」「続けよう」と思っても、ついつい先送りしてしまったり、途中で断念してしまったりすることも少なくない。しかし、これらを「心理学」に基づきながら実践してみると、誰でも驚くほどスムーズに最初の一歩を踏み出せてしまう。先日刊行された『イラスト図解 先送りせず「すぐやる人」になる100の方法』(KADOKAWA)は、「すぐやる人」、そして「やりぬく人」に変わるための方法を図解入りで解説する一冊だ。


 今回の記事では、人間なら誰にでもあるはずの「現実を直視したくない」という心理的傾向について、「現状把握」と「先読み」の関係性から導き出された適切な考え方をわかりやすく説明しよう。

「現状把握」よりも「先読み」にフォーカスする

 この記事をお読みの方の中には、「家計簿がなかなかつけられない」という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。これは、「現状を把握したくない」という心理からくるものです。

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 ただ、その一方で「現状を把握したい」という気持ちもあります。「やりたい気持ち」と「やりたくない気持ち」の葛藤(かっとう)が心の中で起きているわけです。こうした葛藤の中にいるうちは、人は動けません。

 体重計に乗りたくない、というのも同じ心理です。体重計に乗ろうと乗るまいと、事実は目の前に「ある」のに、現実に直面したくないのです。

「悩み」というのは、「現状を明らかにしたくない」というところから生まれます。「体の調子が悪い、もしかしたら深刻な状態かもしれない……」。それならば、病院にすぐに行けばいい。でも、人は現実を見たがりませんから、いつまでも葛藤が続きます。これではいっこうに解決しません。

 ただ、「現状把握」だけが大切なのではありません。把握していようがしていまいが、「現状」はそこにあり、あなたが何かをしない限り、何も変わらないのです。

 本当に現状把握に意味を持たせるためには「先読みしたいという気持ち」にフォーカスすることが大切です。

 例えば家計簿をつけていれば、自然と「現状把握」に目がいきます。でも、いま現在いくら持っているかということは、それほど重要ではありません。家計簿をつけてもつけなくても、現実は変わらないからです。

 それよりも大切なのは、「今後どうなるか」ということ。「先読み」のほうが重要なのです。

図:中村勝紀(TOKYO LAND)

「先読み」できるのに「現状把握」すらしない人たち

 一般的なサラリーマンであれば、毎月の給料は決まっています。ボーナスも多少の上下はあるでしょうが、大体見当がつくと思います。ですから、入ってくるお金はすぐにわかるはずです。

 一方、出ていくお金もわかっているものがほとんどです。家賃、食費、電気代にケータイ(スマホ)代などです。

 多くの人は、いまいくらあって、これからこれくらいのお金が入ってきて、これくらいのお金が出ていく……ということはわかります。予算も立てられます。でも、ほとんどの人はそういうことをしていません。これは「現実を見たくない」という心理が働いているからです。いま景気がよくないから先は見たくない、というような心理もあるかもしれませんが、そんな状況のときこそ「先読み」が必要なのです。

 まずは、「現状を把握して、先読み」してみてください。おのずと「いますべきこと」をやる意欲がわいてくるはずです。

【著者プロフィール】
佐々木正悟

心理学ジャーナリスト。1973年、北海道旭川市生まれ。1997年、獨協大を卒業後、ドコモサービスで働く。2001年、アヴィラ大心理学科に留学。同大卒業後の2004年、ネバダ州立大リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年、帰国。帰国後は「効率化×心理学」の「ライフハック心理学」を探求。執筆や講演でも活躍中。

イラスト図解 先送りせず「すぐやる人」になる100の方法
佐々木正悟/KADOKAWA

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