ダメダメ家計がよみがえる「ウォールポケット家計簿」 お金を分けて、入れて、使い切るだけ!

暮らし

公開日:2018/10/12

『ウォールポケット家計簿ならがんばらなくても貯まります』(前野彩/主婦と生活社)

「気付いたら財布の中にお金がなくて、手数料のかかる時間帯に、泣く泣くATMを使った…」そんな経験はありませんか? 私は何度もあります。

 自分で言うのもなんですが、生まれてこの方、お金の管理は苦手。思い立って作った貯金用口座も、「このところ冠婚葬祭が続くから…」と言い訳をしながら、なかなか数字の増えない日々が続いています。

 そんな私が目からウロコで、「ぜひ今すぐ試したい!」と思ったのが『ウォールポケット家計簿ならがんばらなくても貯まります』(主婦と生活社)でファイナンシャルプランナーの前野彩さんが提唱しているメソッドです。

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 ATMでお金を下ろすのは月1回だけ。あとはそのお金を分けて、ウォールポケットに入れて、使い切るだけ!という、何とも単純明快、そして楽しそうな「ウォールポケット家計簿」。そこで本記事では、その基本的なやり方について、本書からご紹介いたします。

■1週間ごとの「日々マネー」を財布に移して使い切る“だけ”
細かい家計管理が苦手な人でも続けやすい

 家計管理には、大別すると2通りのやり方があると思います。家計簿やレシート管理のように、使った分を後から振り返る「振り返り型」と、袋分けのように、はじめに予算を決めておく「前取り型」です。ウォールポケット家計簿も、まずはATMでその月の予算を一気に下ろす「前取り型」ですが、袋分けメソッドとは異なる点が2つあります。それが、

・細かい費目ごとに予算を出さなくていい
・袋をいくつも持ち歩かなくてもいい

 ということです。袋分けだと、買い物のたびに「食費の袋」「日用品の袋」…と複数の仕分け袋を持ち歩くことになりますが、ウォールポケットならその必要ナシ! 費目ごとの仕分けではなく、「日々マネー」と呼ばれる1週間分の予算で管理するから簡単なんです。

「日々マネー」の内訳は、毎月の「食費」「日用品費」「レジャー費」の合計を4で割ったもの。日常的な買い物と言えば、この費目のものがほとんどですし、「スーパーで夕飯の食材と一緒にトイレットペーパーを買う」なんてことも日常茶飯事なので、確かにまとめて管理した方が効率的ですよね。

■新聞代などの「毎月マネー」やご祝儀などの「年間マネー」も、ウォールポケットで管理

 食費や日用品代は「日々マネー」に含めるとして、それ以外の出費はどうするのでしょうか。本書によると、通信費や光熱費は毎月の変動が少ないので、固定費として口座引き落としで管理。各自のお小遣いは「日々マネー」と一緒にATMで下ろして、仕分け前にそれぞれの財布に入れてしまいます。

 さらに、そのほかの現金払いの予定があるものも「日々マネー」と一緒に引き出し、

・新聞代、習い事の月謝など、毎月現金支払いがあるもの→「毎月マネー」としてポケットへ
・税金や旅行代、冠婚葬祭費用などの特別支出→「年間マネー」としてポケットへ

 と、それぞれウォールポケットに入れてしまいます。このように1か月単位で見通しを立てて準備しておけば、新聞の集金で「手持ちがない!」と恥をかくこともなく、結婚式のご祝儀も「どうやって新札を用意しよう…」と困らずに済みますよね。

 ちなみにこの「年間マネー」の見通しを上手に立てることが、「日々マネー」に手をつけず健全な家計を維持するための大事なポイント。自動車税や子どもの部活合宿代、クリスマスや誕生日などのイベント費用などは、冷静に考えれば“急な出費”ではなく、前もって予想できる出費。年間マネーの詳しい洗い出し方は、本書を参考にしてみてください。

■現金が目に見えて把握しやすく、何より楽しい「ウォールポケット家計簿」

 ウォールポケット家計簿が、ほかの家計管理術と徹底的に違うところ。それは「現金が目に見えている」ということです。

 本書にもありますが、現金の説得力は絶大。お給料が現金手渡しだった頃は「これでひと月乗り切るぞ!」とお札一枚一枚の価値を身に沁みながら使っていたもの。支払うときも、口座引き落としで「10,000」の数字を眺めるのと、千円札10枚を手渡しで払うのはやはり感じるものが違います。

 一見、キャッシュレスの時代を逆行しているような「ウォールポケット家計簿」ですが、お金の有り難みを再確認するためにも、家計管理にお困りの方には試す価値アリの新メソッドです。

文=八巻奈緒