アレルギーのない子にするために、妊娠中・赤ちゃんのころにやっておきたいこと
更新日:2018/10/15
わが子のアレルギーに悩む親は年々増えてきている。自分自身ならまだしも、かわいいわが子、しかも幼いときから罹患しているのを見ると、親ならなんとも言えない気持ちになるのが当然だ。国内外で医学の発展が目覚ましい。子どものアレルギー問題を解決、緩和する手立てがあれば、知りたいところだ。
『アレルギーのない子にするために1歳までにやっておきたいこと15』(古賀泰裕/毎日新聞出版)によると、今や日本の総人口の2人に1人が何らかのアレルギーで悩んでいる時代。この中には、幼い子どもや赤ちゃんも含まれる。赤ちゃんが発症するアレルギーは次の5つがある。
1.アトピー性皮膚炎
2.アレルギー性鼻炎・花粉症
3.気管支ぜんそく
4.アレルギー性結膜炎
5.食物アレルギー
このうち、最初に現れるのはアトピー性皮膚炎で、離乳食が始まるとともに食物アレルギーを発症する可能性があるという。
ご存じの読者は少なくないだろうが、アレルギーは腸内の環境と密接な関係があると言われている。
本書によると腸内には100兆個、種類にして1000の細菌が棲んでおり、まるで花畑のように群生していることから腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ばれている。腸管を広げて伸ばすと広さはテニスコート2面ほど。ここに重さにして約1kgもの細菌が生息しているというのだから、人の健康に密接に関係すると言われれば当然すぎるほど当然だ。
そして、腸内細菌の中でも、ビフィズス菌がアレルギーの有無に大きな影響を与えているのではと推測されている。本書でも、さまざまな研究結果と調査結果を挙げて、ビフィズス菌の効果を述べつつ、赤ちゃんが生まれてから1歳までの間に腸内にビフィズス菌がたっぷりとあるようにしておけば、腸内環境が整い、アレルギーの発症が予防できる、と考えている。
さて、そんなビフィズス菌を含む腸内細菌だが、実は胎児の体内には存在しない。胎内は無菌状態なのだ。通常、赤ちゃんは分娩の際に産道を通り、膣を経て外界へ生まれ出る。産道でビフィズス菌を、膣や肛門で大腸菌を含む腸内細菌をもらう。この後、分娩室にある器具や医師や看護師の手から、そして空気中からさまざまな“赤ちゃんにとって良くない”菌にさらされるが、産道で得たビフィズス菌と膣や肛門で得た腸内細菌で対抗できる、という。
つまり、何らかの事情で帝王切開によって取り出すと、その赤ちゃんは対抗できるビフィズス菌や腸内細菌を持っていない、ということ。経膣分娩で生まれた赤ちゃんに比べ雑菌への抵抗力が弱いばかりか、ビフィズス菌を主とする嫌気性菌が少なく、ビフィズス菌主体の腸内フローラの形成も大幅に遅れるらしい。
とはいえ、帝王切開で生まれた赤ちゃんにも、腸内フローラが成熟するまでにやってあげられることがある。
本書がすすめているひとつの方法は、積極的に母乳を与えること。母乳には免疫グロブリン、ラクトフェリン、リゾチーム、オリゴ糖といった、赤ちゃんを細菌やウイルスなどの感染から守る成分が豊富だからだ。特にオリゴ糖はビフィズス菌にとって重要なエネルギー源となっているうえ、ビフィズス菌の数を増やす働きがあるため、母乳を飲ませられない場合はオリゴ糖入りの人工乳でも可としている。この方法で、赤ちゃんの腸内フローラが成熟するまで体を守ったり、成熟を促進させたりできる。わが子のアレルギー発症のリスクを下げることができるのだ。
生まれる前、つまり妊娠中にも母親ができることはある。本書で紹介されている方法を3つほど簡単に挙げてみる。
1.食生活は和食中心にバランスよく
日本食の素材は(母親の、やがてはわが子に与えられる)腸内フローラのバランスを整えるのに優れている。
2.オリゴ糖たっぷりの食事を摂る
妊娠中は、比較的オリゴ糖の含有量が多いゴボウ、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、バナナ、きなこ、ハチミツといった食材をすすめている。
3.体調を整え、ストレスをためない
ビフィズス菌はストレスに弱く、精神的ストレスがあると数が減ってしまう。
もはや国民病とも言われるアレルギー。わが子のアレルギーリスクを低減させるためにできることが、本書には詰まっている。
文=ルートつつみ
※記事本文に誤解を招く表現があったため、公開後に一部内容を変更させて頂きました。
読者の皆様にご迷惑をおかけしたこと、深くお詫び申し上げます。