「やんなきゃいけない時だって、私たちにはあるの~!!」社会でがんばる女性たちに向けた究極の応援歌、『ふたりはプリキュア名言集 わたしたちはぜったい負けない』

マンガ

更新日:2018/10/30

『ふたりはプリキュア名言集 わたしたちはぜったい負けない』(講談社)

 今年はプリキュアが誕生して15年。それを記念して10月27日から公開される映画『HUGっと!プリキュア♥ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』では、プリキュアシリーズ1作目である『ふたりはプリキュア』が大きくクローズアップされます。この夏には、『ふたりはプリキュア名言集 わたしたちはぜったい負けない』(講談社)も発売されました。この本の中では、家族や友だちとの関係に一喜一憂しながらプリキュアとして未来を切り拓いていく主人公であるふたり、なぎさ(キュアブラック)とほのか(キュアホワイト)の等身大のセリフを丁寧に拾い上げ、15年前の懐かしいアニメ画像とともに紹介。その言葉の一つ一つは、人生をがんばっている大人の心にも響いてきます。

■初対面の印象はサイアクでも、じつは最高のパートナー!?


 家族と離れて暮らすようになってからその大切さに気づいたり、ケンカばかりの友だちがいなくなった瞬間に寂しくなったりすることは、誰にでもあります。その気持ちをつい忘れがちだけれど、普段から大切にしていたい……そんなふうに思わせてくれるエピソードがたくさん散りばめられており、たとえば「初対面の印象はサイアクでも、のちの最高のパートナーになることは意外と多い」と綴られています。もしかしたら、あなたも意外なところで良きパートナーに出会っているかも!?

■私が私のためにほのか探してどこが悪いの?


 いつも一緒に闘っているほのかとバラバラにされた上に、「ひとりでは何もできない」「仲間を探すのも、所詮、自分のため」と嘲笑されたなぎさ。一度は闇に飲み込まれかけたものの、「ほのかに会いたいと思って何が悪い」と開き直って戦意を回復しました。

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 心が弱っているときこそ、人の嘲笑や横やりに傷つきやすいものです。しかし、自分を信じて意志をつらぬくことで、なぎさのように未来は切り拓けるかもしれません。それに、ひとりでは何もできなくても、誰かと力を合わせればできることはたくさんあるのだと、なぎさの言葉が教えてくれます。ひとりで悩むのではなく、時には周りの人に相談することが解決につながるかもしれません。

■無理だとわかってても、やんなきゃいけない時がある!


 すべてを食い尽くす闇の力とぶつかり合う最終局面で、「お前たちには無理だ」と威圧するボスキャラのジャアクキングにプリキュアたちは立ち向かいます。

 大きな困難を目の前にすると、大変さばかりが目について、「無理だ」とあきらめそうになるのは当然のことでしょう。しかし、本当にそれでいいのでしょうか。本書では次のように投げかけています。
“未来に対する挑戦には〈無理〉がつきもの。『大変そうだから…やらない』という選択からは、何も生まれてこないでしょう?”。

■子どもの頃に「かっこいい!」と思った言葉が大人になってからも心に響く

『ふたりはプリキュア』は、初代プロデューサーの鷲尾天さんが、主人公のなぎさやほのかに「凛々しく、自分の足で立つこと」という思いを託した作品です。当時の放送を見ていた子どもが5歳だとしたら、現在は20歳。まさに社会に立ち向かい始めたころかもしれません。

 “西尾大介監督が「子どもたちは好きなものを無条件に受け入れてくれる。だからこそ間違ったことを描いてはいけない」と念じながら、アフレコぎりぎりまで探り続けたというセリフの数々。子どもの頃に「かっこいい!」と思った言葉の中に、今の自分の不安に寄り添う一言がきっとある”と、鷲尾さんは本書の中で語っています。

 新しいことに一歩踏み出すかどうか迷っている、大きな壁にぶち当たってしまった、誰かの心ない言葉に傷ついて立ち直れない、ケンカした家族や友だちと仲直りしたい…そんな不安や悩みを抱えている人は、「ときには怒り、ときには落ち込み、ときにはさぼる(笑)。でも少しだけ前に」という鷲尾さんの言葉を胸に、本書を開いてみてはいかがでしょうか。

文=吉田有希

(C)ABC-A・東映アニメーション