頑張りすぎてしんどくなったあなたへ……84万人フォロワー・小池一夫の心が軽くなる言葉!

暮らし

公開日:2018/10/26

『だめなら逃げてみる 自分を休める225の言葉』(小池一夫/ポプラ社)

 ドラマ『獣になれない私たち』が話題だ。努力や我慢は確かに美徳で人を成長させるけれど、過度なそれは人を追い詰め、時に命を失わせる。新垣結衣演じる主人公は、まじめで責任感が強くて、よく気がつく有能な働き者だ。それゆえ次々と押し付けられる仕事や厄介事を拒絶できず、心も体もぼろぼろになった彼女がふらりと線路に吸い寄せられたその様に、他人事とは思えない視聴者が続出した。

 がんばりやさんほど、逃げることも、怒ることも躊躇する。そんな人たちにぜひとも読んでいただきたいのが『だめなら逃げてみる 自分を休める225の言葉』(ポプラ社)だ。

 著者は漫画原作者、作家、脚本家などとして知られる小池一夫氏。2010年からはじめたTwitterでの発言は常に大量拡散され、そのフォロワー数はなんと84万人以上で、幅広い世代から支持されている。

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人生がつらくなる最も大きな原因の一つが「自信をなくすこと」だ。自信をなくしている自分は脆く弱い。なんにでも傷つき、さらに自信を失う。だから、あなたの周りで、あなたの自信をなくそうとする人がいたら、今すぐに距離を置くのだ。自分の言いなりにしたいか、潰そうとしているかどっちかだから。

 と小池さんは言う。「私だって頑張っているんだから」「俺はこんなに我慢しているのに」、その言葉のあとに続くのは「だからお前も頑張れ」「我慢しろ」「逃げるな」という強制だ。まじめな人ほどその言葉に耳を傾け、「できない」自分に病んでいく。だけどできないことも逃げることも決して悪ではない。

取り返しがつかないぐらい身体や心を壊した時に、休みをとることを悪く言った人たちは責任なんかとってくれないよ。その人にとっては甘えに見えても、自分にとってはギリギリってよくあること。自分の心の強さと弱さは、自分でさえも間違う。「自分は自分で守れ」

逃げてから、生きて、生きてから、再び戦え。

 自分で自分を労り守ること。それは誰かを労り守ることにもつながっていく。自分を許してあげられないと、他人に優しくすることもできない。先に書いた「私はこんなにやってるんだから」のループで、人は人を責め続ける。

誰かを弱いやつだなあと思うぐらいなら、その分自分が強くなればいいし、あの人意地悪いなあと思えば、自分がやさしくなればいいだけのこと。

 強くなるのは難しい。世の中にはしんどいこと、理不尽なことがたくさんあるし、身近な相手にだって「どうしてそんなことをするの?」「なんでわかってくれないの?」と責める言葉はやろうと思えば際限なく生まれていく。けれど、そんなことをしていても、相手も自分も救われない。

「被害妄想を持つのをやめる」というのは、人生を生きる大切なコツ。実際に被害にあい、そのことと闘うというのは必要なことだけれど、もう、妄想の域に入っている人って多いなと感じる。被害は運命だけれど、被害と闘うことは運命を切り拓くということ。被害「妄想」に囚われて、運命に屈してはならない。

「どうにもならないこと」は絶対にある。そのどうにもならないことに心を注いでも仕方がない。やるべきことは「どうにかなること」なのだ。

 苦しみに寄り添いながら、同時に自分自身が強くなることを教えてくれる。ほんの少しでもしんどいな、と思っている人はぜひとも手にとってみてほしい。

文=立花もも