「一頭買い」は牛一頭のことじゃない!? 焼肉のうんちくを全網羅
公開日:2018/10/29
秋といえば、何が思い浮かぶだろうか。スポーツの秋、芸術の秋、読書の秋。そして、忘れてはならないのが、「食欲の秋」である。
好きな料理として多くの人が真っ先に挙げるものといえば、やはり「焼肉」は外せないだろう。どんな世代からも愛され、国民的料理である「焼肉」。肉という1文字を見ただけでよだれが出てしまう…そんなあなたにぴったりの1冊がある。2018年10月15日に発売されたばかりの『焼肉語辞典』(田辺晋太郎:監修、平井さくら:絵/誠文堂新光社)を、本稿ではご紹介したい。
本書ではそのタイトルの通り、「焼肉」の銘柄、肉の部位、焼き方、食べ方、タレの種類など多方面からの知識を身につけることで、焼肉の懐の深さや広さを味わうことができる。
さらに、食べることだけに特化した内容ではなく、お店のスタイルや楽しみ方、映画や本、著名人など、焼肉にまつわる言葉を辞典形式にまとめ解説した、まったく新しいタイプの焼肉用語辞典であり、680語もの言葉が収録されている。
「サイコロステーキ」や「バーベキュー」といった馴染みのある用語から、「アラキドン酸」や「大ヨークシャー種」といった日常的には見聞きしないような用語まで、幅広く収録されており、焼肉に関する豆知識やうんちくなど、新たな発見があることは間違いない。
例えば、「一頭買い」という言葉を掲げている焼肉店もあるが、これは牛一頭という意味ではないらしい。牛は解体された後に脊椎に沿って左右に分割されるそうだ。その分割された半分を丸ごと買うことを、「一頭買い」と言うそうだ。
また、一見焼肉に関する専門用語ではなさそうな「アルミホイル」という言葉も収録されている。この項目では、プレートが汚れるのを防いだり、くさみが付くことや煙が少なくなるなどの、家庭で焼肉をする際にアルミホイルを使うメリットなどが記されている。店だけでなく、家で焼肉を楽しむ際にすぐ役立つ豆知識も満載だ。
本書を監修した田辺晋太郎氏は、正しい食文化の普及、啓蒙や社会教育の推進を図る「食のコンシェルジュ協会」の代表理事を務め、「肉のコンシェルジュ」「肉マイスター」としてテレビ・ラジオの出演、および雑誌の監修や連載などを手がけている人物だ。食肉の知識、調理法、扱い方など多様な分野において造詣が深く、生産者、料理人など専門家からの支持も篤い。そんな彼が、焼肉に関する多角的な知識をもとに監修した本書では、イラストや写真を交えて、焼肉の魅力がこれでもかというほど伝えられている。
親しみやすいイラストや豊富な写真を見るだけで、解説文を読むだけで、思わずよだれが垂れてしまうジューシーな1冊である。
本書の読了後は、きっとどうしようもなく「焼肉」が食べたくなることだろう。そして、本書で得た知識や情報を思い出し、それを駆使することで、これまでよりもずっと美味しく、「焼肉」を楽しめるはずだ。本書が、この秋の食を豊かにするための良き友となることは間違いない。
文=島口大樹