0円で今すぐできる“幸せの見つけ方” 心に疲れがたまっている人は、玄関の靴を数えよう
公開日:2018/11/2
せっかく片づけてもすぐに散らかる、いつも時間に追われてイライラする……そんなストレスを抱えている人に、NKH総合テレビ「あさイチ」で“スーパー主婦”として紹介され、話題を集めた井田典子さんがアドバイス。自身の主婦として、母親としての経験をもとに紡ぎ出される言葉に心が癒され、元気がチャージされる一冊が、『片づけられない人はまずは玄関の靴を数えましょう』だ。
タイトルにある、片づけられない人は、なぜ玄関の靴を数えることから始めたらいいのか? 読み終えたとき、その理由に納得するはず。
心が整っていないと幸せを実感できない
整理収納アドバイザー1級の資格を持つ井田さんは、これまでに200軒以上のお宅の片づけに関わってきた。その経験から、「どんな大邸宅に住んで、なに不自由のない暮らしをしていても、心が整っていないと幸せを実感できない方が多い」ことに気づく。
それ以来、「心を整える暮らし」が井田さん自身の生き方のテーマとなるが、目に見えない「心」を整えるといっても、なにをどうしていいのか、なかなか難しい。
その手がかりになるのが「モノ」の片づけ。心は目に見えないが、モノは見える。見えるモノを整えることで、見えない心が整うことに。
モノと時間と心はつながっている
モノが多ければ、その分、片づけに時間がかかる。余程の片づけ達人でもない限り、少ないモノを片づけるより、たくさんのモノを片づけるほうが、より多くの時間が必要となる。 管理するのも、モノが多いと煩雑だ。「あれをどこにしまったか?」「これをどこに入れようか?」とモノで煩わされることが多くなる。
つまり、モノが多いと片づけに時間をとられ、管理に頭を悩まされることに。井田さんは「部屋にモノがあふれていると空気に圧がかかり『よどみ』が生じる」という。そんなよどんだ空気の中では心が整わず、幸せも実感できない。
暮らしの中には、実は、あちこちに幸せのカケラが落ちている。それに気づいて、カケラを拾うには、まずは心を整えること。そのはじめの一歩が片づけというわけだ。
片づけが苦手でも、自分が持っている靴の数は数えられる
「数字には不思議な力がある」と井田さんはいう。たとえば、「靴がたくさんある」と漠然と考えるのと、「23足ある」という具体的な数字で把握するのとでは大きな違いがある。
下駄箱に入り切らない靴が玄関のたたきにあふれているとき、靴が「たくさん」あるという「ぬるま湯」につかって、ぼんやり考えているのではなく、「23足」という数字を自分に提示することが、「どれかを処分する」という行動を後押しすることに。
「片づけが苦手」と思っている人でも、下駄箱から靴を全部出して、その数を数えることはできるはず。本当にすべてを履き回しているのか? 何年も履いてない靴が混ざっていないか? これからも履きたい靴はどれなかのか?……と、靴と向き合うことから始めてみよう。
私たちは片づけのために生きているのではない
モノが多い、モノがすぐ出しっぱなしになる、収納が少ない、収納が使いにくい……など、片づけや収納に時間をとられ、気持ちを乱されている人は少なくない。井田さんは「収納に振り回されて生きるのはもったいない」という。
本著には、片づけに振り回されないための具体的なアドバイスが随所に散りばめられているが、そのひとつが「キン、コン、カン」。
モノを「キン(近くに)」「コン(パクトに)」「カン(簡単に)」に収納することで、出したモノを元に戻しやすくなり、片づけに追われなくなる。片づけにかける時間と労力が少なくなれば、その分、幸せを感じる時間をもっと増やすことができるはずだ。
自転車のペダルは動かすほど軽くなる
わが家の間取り、家族構成、ライフスタイルに合った「片づけの正解」を早く知りたいと思う人がいる一方で、正解がわからないから手をつけないという人もいる。
片づけを依頼されたとき、そのお宅に合った片づけの答えは「当然ながら、すぐには見えてきません。試行錯誤を繰り返すことで、頭で考えるよりも手を動かしたほうが早い、というのが実感です」と井田さん。
何かを始めるとき、事前に計画を立て、十分な準備をしてから行動に移すことは、もちろん大事だ。だが、片づけに関しては、手をつけないことで暮らしにくさが続いているなら、とりあえず「手を動かしてみる」のがいいかもしれない。
「手は自転車のペダルと同じ、動かさないと重くなりますが、動かせば動かすほど軽くなります」と井田さん。
それなら、たとえば「玄関の靴を数える」ことから、手を動かしてみるというのはどうだろうか?
写真=古財秀明、佐山裕子(主婦の友社)
文=村越克子