女友達の結婚ブームでひとり晩酌が加速するアラサー女子が、年下イケメンに翻弄される
更新日:2018/11/5
秋到来、だんだんと、鍋物やおでんが恋しい時期になってきました。ドリンクは何をあわせましょうか? ビール、ワイン、お茶…たまには日本酒でいかがですか?
『酒と恋には酔って然るべき』1巻(はるこ:著、江口まゆみ:原案協力/秋田書店)は、そんな日本酒が恋のキューピットとして重要な役割を果たしてくれるグルメ漫画です。
■ワンカップ女子、酒と恋に酔いしれる
主人公の松子は32歳の会社員、ひとり暮らし、彼氏なし。周りの女友達の結婚・出産ブームのあおりを受けて飲み友はどんどん減っていき、最近ハマっているのは帰宅後のひとり晩酌という、自称「ワンカップ女子」。社内でも酒好きとして名を馳せています。
そんな松子が、ひょんなことから年下のイケメン同僚を家飲みに招くことに。会社ではクールで付き合いづらく見えていた彼ですが、実は、酒が入ると、笑い上戸にかわいく変貌するという、ツンデレならぬ「酔いデレ男子」でした。
その家飲み以来、彼の事がほのかに気になり始めた松子。しかし、彼の方はというと、松子を初詣デートに誘って気を持たせるかと思えば、本当は実家のウサギに会いに行くだけなのに「彼女に会いに行く」と言ってみたりと、本心が読めない言動で松子を翻弄します。
松子も松子で、晴れてお付き合いする恋人ができた時のイメトレと称して、誰もいない自宅でひとり、想像上の「エア恋人」に話しかけたり、ふたり分の料理を準備したりと、ひとり遊びをこじらせて重症化。そこへ、たまたま松子を訪ねてきた彼に、二人分の料理を見られてしまい、「付き合ってる人いるんだ」と誤解を招いてしまいます。
そんな、つかず離れず(?)の関係が続いていた松子と彼の間に、彼狙いの後輩女子も登場します。若さを強みとし、積極的に彼にアプローチする後輩女子と、やきもきする松子、そして相変わらず本心が読めない彼。松子の恋の行方はどうなるのか…巻末での驚きの展開(ここでは詳細を控えます)を見ると、次巻も一筋縄ではいかなそうです。サラリとしたタッチで美男美女たちが登場する本書は、目の保養にもなるでしょう。
■恋愛と日本酒、1冊で2度おいしい
本書では、そんな二人の恋物語が、松子セレクトの日本酒たちとともに展開されていきます。手軽に飲めるワンカップ酒から、正月には樽酒、バレンタインには日本酒チョコ、桃の節句にはフルーティなにごり酒と、季節に合わせたセレクトは日本酒ならではと言えるでしょう。
そして、物語の随所に登場する日本酒に関する「豆知識」も大きな読みどころ。銘柄の説明はもちろんのこと、電子レンジでのお燗のポイントや、酒米の品種の話など、読めばきっと日本酒が身近なものに感じられるでしょう。
恋物語と日本酒、まさに1冊で2度おいしい漫画を、ぜひ日本酒と一緒に味わってみてはいかがでしょうか。どちらも飲みすぎにはくれぐれもご注意を。
文=水野さちえ