気づけばやらなきゃいけないことばかり…なりたい自分になるための「逆算思考」って?

暮らし

公開日:2018/11/5

『逆算手帳の習慣 ふわふわした夢を現実に変える』(コボリジュンコ/ダイヤモンド社)

 あなたの夢はなんですか?と聞かれて即答できる大人はそう多くないのではないだろうか。やりたいことはあるような、ないような。そんなことよりもまずやらなきゃいけないことが多すぎて、目先のTODOリストをこなすしかない。でも、本当に自分はそれでいいんだろうか…? 『逆算手帳の習慣 ふわふわした夢を現実に変える』(コボリジュンコ/ダイヤモンド社)には、そんな毎日を打開し、「ぼんやりとやりたいことはある」というふわふわや、「このままではだめかもしれない」というもやもやを「逆算思考」と、「手帳術」との組み合わせで解消していく方法が紹介されている。

「逆算手帳術」とは、「人生全体」から逆算した計画を立て「今日」やることを手帳に記入し、それを実行していく方法のことだ。そもそもの考え方はシンプルで、たとえば買い物に行くときにあらかじめ買うものをリスト化したり道順を確認してから行くのと同じ「ゴールから逆算して計画を立て、実行する」というもの。著者のコボリジュンコ氏は、システムエンジニアとして働いたのち、フリーランスを経てWeb制作会社を設立。会社設立前後の多忙な時期に手帳をフル活用する中で、試行錯誤を繰り返してたどり着いたのが「逆算手帳術」だったのだという。

「逆算手帳術」の手順はざっくりまとめると次の通り。

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・やりたいことを100個挙げる

・100のリストをもとにライフビジョンを作成する

・「人生」から逆算して「今日やること」の計画表を作る(ライフ逆算、10年逆算、1年逆算、マンスリー、ウィークリー)

・楽しみながら実行し、夢に近づいていく

 本書ではこれらの詳細なやり方が段階を追って解説されている。

 筆者も実際に、とっかかりの部分である「100個のやりたいことリスト」、そこから8つのセクションに分かれた「ライフビジョン」を作成するところまで実行してみた。ちなみに、100個のリストは本書に記載されているWebサイトからPDFでダウンロードが可能だが、ライフビジョンやその他の逆算シートは自分で作成する必要がある。すべてのシートが含まれているその名もずばりの「逆算手帳」や、ウィークリーシートのみも販売されているので、それを使うとよりラクかもしれない。

筆者が作成した100個のやりたいことと、それに基づいたライフビジョン。子供の名前を書いた部分は伏せている。ハセヒロとは筆者が好きな俳優の長谷川博己氏のこと。

 殴り書きの汚い字で申し訳ないが、上記画像が筆者の100個のリストとライフビジョンである。この100個のリストは、いったん寝かせて、再度見返しながら加筆・修正をしていくのがよいそうだ。最初に100個のやりたいことを書いた時点で、ハセヒロを欲張りすぎた感が否めない。その後やはりハセヒロだけライフビジョンのどこに振り分ければよいかわからず、枠を追加してしまった。ふざけているわけではないのだが、本来の用途と少しずれてしまい反省している。

 しかし、これを書いているあいだは本当にワクワクしていたし、本書の中でも「楽しみながら」やることが夢を実現に導くポイントであると何度も強調されている。そして確かに、普段、ぼんやりと考えていた「こうだったらいいな」が、それらを書き出して明確にすることで、「自分はこうなりたいんだ」という未来のビジョンに変わっていくことを実感した。

 この未来のビジョンから、だんだんと人生→10年→1年→マンスリー…と計画を詳細化し、「今日」やることを決めていく。それは何も大きな夢だけでなく、ダイエットや部屋の片づけなどの比較的近づきやすい夢でもいいのだ。自分がいつまでに、どこにたどり着きたいのかを自覚し、そのために毎日行動していれば、ただ漠然と「こんなはずじゃない」と過ごすことはなくなるだろう。このほかにも、本書には、夢の実現の可能性を高める「プロジェクト化」の方法や、複数のプロジェクトを進行させる際のガントチャートでの進捗管理のシミュレーション法なども掲載されている。

 逆算メソッドによる計画は作って終わりではなく、手帳に毎日の成果や目標達成度を書き込んだり、状況に応じて随時書き直す必要も出てくるため、そこそこ大変な作業だ。ただし、根を詰めてやる必要はなく、手帳に書けない日は最初に作ったライフビジョンを眺めるだけでもいいという。それは、日々の「やらなくてはいけないこと」に埋もれて、本当に自分がやりたい夢を忘れないようにするためだ。毎日なんのためにこんなに自分が忙しいのかわからない、という人は、まずは一度100個のやりたいことリストを書き出して、じっくりと「なりたい自分」と向き合う時間を持ってみてはいかがだろうか。

文=本宮丈子