※悪用厳禁!※ 地下経済のあくどいボロ儲けを、ビジネスに活かす方法は?

ビジネス

公開日:2018/11/6

『地下経済の最新手口に学ぶ ワルの経済教室』(多田文明/彩図社)

 詐欺、悪質商法、カルト宗教といった、いわゆる“地下経済”の活動は、鎮まるどころか勢いを増すばかりだ。これら地下経済での活動に従事する者は、わたしたち“オモテ社会”の人々が知らぬ間に想像もつかないような大金を動かしている。

 彼らはいったいどのようにして大金を自由自在に操っているのだろうか。あるいは彼らが地下経済で用いる手法を応用して、オモテ社会で正当にお金を動かすことはできないのだろうか。『地下経済の最新手口に学ぶ ワルの経済教室』(多田文明/彩図社)は、先に挙げた問いに答えながら、地下経済に学ぶ発想法や営業トークの手法などをわたしたちに教えてくれるものだ。

■次から次へと生まれるボロ儲けのカギは「平行移動」

 毎年のように新しい詐欺の手口が明らかとなり、オモテ社会のニュースを騒がせている。次から次へと生まれる詐欺の手口に対する警察の懸命の対応もむなしく、詐欺の被害にあう人は絶えない。

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 ここでひとつ疑問が生まれる。いったいどのようにして地下経済に従事する者は目にもとまらぬ速さで次々と新しい詐欺の手法を生み出すのだろうか。この問いへのカギとなるのが「平行移動」だという。彼らは決して奇想天外な発想をする天才頭脳集団ではない。彼らはこれまで用いていた手法の「一部」を何か他のもので代替することによって、あたかも新しい手口のようにふるまうのである。

「架空請求詐欺」を例に挙げてみよう。これまではWEBコンテンツの未納料金の請求を装ったメールを送り付けて、お金をだまし取るのが主流であったが、最近はメールではなく電話による架空請求詐欺の被害も出てきている。

 不特定多数が対象という図式はそのままに、その手段をメールから電話に平行移動させることで、これまでメールを使う世代に限られていた架空請求の対象が、高齢者までひろがったのである。

■リバウンド手法で成功を掴みとれ!

 カルト宗教団体に入信した友人を連れ戻そうと団体に乗り込んだ人が逆に入信させられてしまう、という事態がときおり聞かれる。止めに行ったはずの人も取り込んでしまう団体の手法はどれほど手荒なものなのだろうと考えてしまう人も多いかもしれない。ところが、実際の手法は荒っぽいという言葉からはほど遠いようだ。

 大切な友人を取り戻すために感情的になっている人に対し、教団は「○○さんはだれにも相談できなかった悩みを打ち明けることができたのです。○○さんの気持ちを本当に理解できていますか? あなたも話だけでも聞いてみませんか?」とたたみかけるのだ。そうして、友人を取り戻しに行ったはずの人も団体に取り込まれてしまうのである。このように、あるアクションに対してそれ相応またはそれ以上の返答があると、人はそれに心を動かされやすくなってしまうことを利用するのが、リバウンド手法だ。

 この例は、リバウンド手法の負の側面を利用した例だが、うまく使えばオモテ社会のビジネスにおいても生かすことができるという。その方法は本書で確認しながら考えてもらいたい。

 地下経済で悪事を働くということは許されてはならない。しかし、地下経済における手法をオモテ社会で生かすことはできる。手法が悪用されることがあってはならないが、上手にアレンジしてビジネスにおける成功につなげることもできよう。

文=ムラカミ ハヤト