“ピンクチラシカードバトル”で遊ぶ小学生!? 足立区のいま
更新日:2018/11/7
筆者には、東京都足立区生まれ足立区育ちの友人がいるのですが、彼はかつて、知り合って間もないバイト仲間に「私、足立区の人と遊んじゃだめって親にいわれたんです〜」などと、なぞのカミングアウトをされたそうです。彼は当時を振り返り「ツラいけど、いいたいことはわかる」といいながら、遠くを見ていました。私の友人が出身地によって切ない思いをしたように、東京都足立区は“とにかくヤバい街”として君臨しています。
全国のみなさんのなかには「ウワサには聞くけど、足立区ってどうヤバイの?」と、疑問を抱いている人もいるはず。そんなあなたにおすすめしたいのが、先日発売された『出没!アダチック天国』(吉沢緑時/竹書房)です。
同書は、文京区民の漫画家・緑時氏と足立区のイメージアップを画策する生粋の足立区民の編集・I島が、足立区のあらゆる魅力(?)を、紹介するエッセイ漫画です。「日本一口が悪くよく笑う占い師…北千住の父」の登場や、リクガメのケンカが拝める「足立区生物園」など、同区のエキサイティングスポットを次々に紹介してくれる1冊です。
ページをめくればめくるほど足立区の魅力(ヤバさ)がほとばしる『アダチック天国』ですが、そのヤバさに拍車をかけているのが、足立区在住の担当編集I島氏の存在です。今回は、I島氏のセリフから足立区の素顔をひもといていきます。
●足立区の子どもたち定番の遊び
足立区を練り歩いていると、ところどころに「割れたオロ●ミンCの瓶」が転がっていることに気づいた緑時氏。
緑時氏:そういえば…さっきからコレもよく見るなぁ…
I島氏:あ〜…割れたオロ●ミンCの瓶ですか…こんなのどの区でもヤッてません?
緑時氏:ヤッてる?
I島氏:瓶に犬の糞を詰めて爆竹入れて破裂させる子供の遊び
緑時氏:ヤらないっすね!
まあ、ヤらないですね。
●小学生時代の思い出
高架下を彩る路上アート(落書き)を見ていると、壁に貼られているピンクチラシを発見したI島氏。
緑時氏:荒れた高架下だなぁ…
I島氏:立派な路上アートだなぁ…
I島氏:小学生の頃…ポストのピンクチラシ集めたなぁ
緑時氏:え?…集めて一体…
I島氏:トレカみたくカードバトルを…
緑時氏:は?
I島氏:チラシの番号にイタ電すんのも流行りまして…
緑時氏:テレクラ?
I島氏:どんな男が来るか待ち合わせ場所を遠くから見てました
緑時氏:足立区ヤベ〜
ピンクチラシといえば、テレクラや風俗店などなど、アダルトなお店に勧誘する内容が記された違法のチラシ。子どもにとっては、街にあるものすべてが遊び道具になる…のかな?
何がヤバイかというと、I島氏にとってすべてが日常である点。I島氏はあくまで自然に“足立区あるある”として、同区のホットなエピソードを披露し続けます。彼女の何食わぬ顔が「足立区のヤバさ」を加速させているのはたしかです。
そして『出没!アダチック天国』第17話には足立区を代表するお笑いコンビ・ANZEN漫才の2人が登場し、さらに気合の入ったエピソードを披露してくれています。一度魅入られたら抜けられない、不思議な足立区ワールドをぜひご堪能ください。
文=田淵加奈子