日本にまだこんな秘境が!? 思わず行ってみたくなる離島のひとり旅ガイドブック
公開日:2018/11/11
たまには、何も考えず、誰に遠慮することもなく、1人でふらっと旅に出たい衝動に駆られる。見たことのない景色に触れていると、純粋に好奇心が刺激され、心が洗われる気がするのだ。だが「離島」まで出かけるとなると少しハードルが上がる。しかし、それと同時に、その“特別感”に強く興味をそそられるのもまた事実だ。
そんな中、『離島ひとり旅』(大畠順子/辰巳出版)という本を手に取った。本書は、日本の離島をひとり旅してまわっている著者が、離島の魅力を紹介している本。中を見ると、まず日本にこんなにたくさんの離島があったのか…!と驚かされる。なんと、無人島も含めると6800以上、人が住んでいる島だけでも418もあるらしい。そしてその1つ1つがとても個性的で、他では味わえない体験ができる世界なのだという。
場所によっては交通手段が非常に限られていて、足を踏み入れることさえ困難な場合もある離島。しかしこの本では難易度別に紹介してくれているので、自分のレベルやスケジュールに合わせて、そのときどきのひとり旅が楽しめそうだ。
◆週末にふらっと行くなら、伊豆諸島の「式根島」
例えば初心者でも行きやすい伊豆諸島の「式根島」(意外だが東京都!)なら、東京から高速船を使えば約3時間で行くことができる。島内には海水浴場や24時間無料で入浴できる野外露天風呂があり、夏場はちょっとした人気スポットとなっている。中でも「泊海水浴場」の景色は圧巻で、透明度も抜群に高いそう。
波が穏やかなので家族連れでも安心して楽しめる場所らしい。また、「神引展望台」に上ると、美しい島の様子や海が一望できる。東京から行きやすく観光客にも人気のこの式根島なら、離島初心者でも安心してチャレンジできそうだ。
◆絶景サイクリングが楽しめる、著者イチオシの「粟島」
こちらも初心者向けの離島。一方に山、そしてまた一方には海という絶景の中をサイクリングできる、自転車で回っても数時間という小さな島で、著者が離島を旅するきっかけになった場所なんだとか。島全体が「粟島浦村」(新潟県)という自治体で、「内浦」「釜谷」という2つの集落がある。この島には、路地やハイキングコース以外は「集落間を結ぶ道」と「島をぐるっと囲う道」の2本しかなく、途中にはお店はもちろんのこと、自動販売機もない。そのため、サイクリングをする際には、集落で水分を調達しておく必要があるとのこと。
粟島名物の「わっぱ煮」は、スギ材を曲げて作った「わっぱ」に材料を入れ、焼いた石を入れて煮立たせるという変わった調理法をとる料理。その時期の旬の魚が具材として入っているそうで、著者も「粟島に行ったらぜひ試してほしい」と語っている。
◆超上級者向け! 定期便が存在しない「新城島」
最後に紹介するのは、上級者向けの離島の中でもさらに超上級な「新城島(あらぐすくじま)」(沖縄県)。新城島は、「上地島」と「下地島」2つの島の総称で、集落があるのは上地島のみ。人口は10人前後とされていて、島のあちこちに立ち入り禁止、撮影禁止の場所があり、厳重に管理されている。
この島に入るための定期便は存在せず、島に入るには石垣島などから催行されているシュノーケルツアーなどの船を利用するしかない。立ち入り禁止の場所に何があるのか、何が行われているのかは謎に満ちており、この島の出身者以外は知ることすらできないのだ。そんな場所がまだ日本国内にあることに驚いた。しかし、禁止事項を守っていれば基本的には穏やかで、自然も非常に美しい島なんだそう。
本書では離島の紹介以外にも、離島旅の心得や注意点、持ち物、離島で出会った人たちとの交流や雰囲気など、気になる点が丁寧に紹介されている。場所によっては1日に一度しか定期便がなかったり、天気の影響で数日間交通手段が途絶えたりする島もあるため、最低限交通手段や宿の下調べは必須とのこと。
本書を見ているだけでも「日本にこんな場所があったのか!」という驚きの連続だが、紹介されている離島はほんの一握り。普通のひとり旅に比べると準備や交通の便など大変な点は出てくるが、それでも「行ってみたい!」と冒険心をくすぐられる。普通のひとり旅には飽きてきた人、離島に興味がある人は、この『離島ひとり旅』で難易度を確認しつつ、気になる離島に足を踏み入れてみるのもいいかもしれない。
文=月乃雫