不安、嫉妬、否定…ドス黒いネガティブ思考をいかして幸せになる!
公開日:2018/11/15
「引き寄せの法則」というものが流行った。自分の発する波動と似たようなものが引き寄せられてくるから、いつでもポジティブでいなさい――簡単に言うと、そんな法則だったように思う。
しかし、率直に言えばこの法則には馴染めなかったという方も多いだろう。わたしもそうだ。そもそも、根っからのネガティブ思考の人が、「はい! 今日からめちゃめちゃポジティブに生きます!」というように一朝一夕で考え方を変えるのは難しい。わたしはときたま気分がどん底まで沈んでしまう日があるが、そんなときに引き寄せの法則を実践してみても、「今日は引き寄せの法則がうまくいかない。やっぱりわたしはダメなんだ…」きっとこうなってしまうに違いない。
だが、最近手に取った『「逆」引き寄せの法則』(MACO/PHP研究所)という本ならば、根っからのネガティブ思考という人でも、気持ちをコントロールして幸せの方向に自分を向けられるようになるのでは、と思ったのでみなさんに紹介したい。
■ネガティブ感情やマイナス思考にも役割がある!?
「ネガティブな感情ってなんのためにあるの?」と疑問に思う人もいるかもしれない。これまで見てきた多くの「引き寄せの法則」の指南は、とにかくポジティブのゴリ押しだった。だが、ネガティブ・マイナス思考も実際に人が感じるものには何か役割があるに違いない、と考えているのが本書の著者だ。
著者によれば、ネガティブ感情やマイナス思考は決して悪者ではない。「怖いな」「イヤだな」と感じているときは、自分が何に対して恐怖や嫌悪感を抱いているのか、自分が何を考えているのかを理解するチャンスだからだ。
さらに「わたしってこのままでいいのかな?」「なんでわたしってこんなにネガティブなんだろう?」という一見ネガティブな問いも、それを考え付いたときこそが、自分が変わることができる“人生の分岐点”だとみなすこともできる。
起伏のない単調な人生なんておもしろくない、多くの人がそう思っているだろう。先に述べたことを勘案すると、ネガティブな思考というのはポジティブな思考とともに人生にアクセントを添える小道具、あるいはもっと大きな舞台装置なのかもしれない。
■自分しか知らないブラックな感情をどっぷりと愛する
ネガティブ感情・マイナス思考はどうやら私たちにとって迷惑な存在ではないということがなんとなくわかってきた。「だからなんだ?」と思う人も少なからずおられよう。本書によれば、このブラックな感情(わたしはどうしても濃い紫色をイメージしてしまうのだが…)をとことん愛することが重要なのだという。
愛することは認めること、認めることは愛すること。自分の中のブラックでネガティブでドロッとした部分を認めると、自分が本心あるいは頭で何を感じているのか理解することができる。それを通じて自分という存在を認められるようになる。こうしてはじめて有意義な人生のスタート地点に立てるのだ。
ここまで紹介しても、「ブラックな感情(あるいは濃い紫色の感情)を愛したからって、何が始まるんだか…」と懐疑的に思う方は、「どうせわたしなんか…」というネガティブな気持ちで本書を手に取ってほしい。読み終わるころにはきっとそのネガティブな感情と、なにかポジティブな要素とが“両輪”だということを理解し、素の自分を丸ごと愛せるようになっているだろう。そしてまた、自分の人生に何らかの方向性も見出せるようになっているに違いない。
文=ムラカミ ハヤト