「見初められる、って なんておぞましい言葉だろう」――性的無理解。のみこんできた言葉を作品に託して ■対談 村田沙耶香×鳥飼茜
更新日:2019/3/14
村田沙耶香の本
『地球星人』
村田沙耶香
新潮社 1600円(税別)
若い女は恋をし、セックスして子を産み、繋ぐ。人間工場のような地球は、自分の居場所ではない──息苦しさを覚える少女は世界をどう生き延びるのか。「自分は宇宙人だからうまく生きられないと思っている人は案外いると大学の先生が言ったとき、同意した人の多さに驚いたことが設定のきっかけです」(村田)
『コンビニ人間』
村田沙耶香
文春文庫 580円(税別)
「私」はコンビニ店員として生まれた。コンビニの規律だけが「私」を世界の部品として正常に組み込んでくれる──コンビニバイトを続ける36歳・処女の古倉さん。周囲に何を言われても、コンビニで完結する世界こそが彼女の平穏だった。だがバイト男性を家に住まわせてから、世界は少しずつ歪み始め……。
『消滅世界』
村田沙耶香
河出文庫 630円(税別)
人工授精での繁殖が常識の世界で、夫婦間の行為は「近親相姦」であり、恋やセックスは家庭の外でするものとなった。だが愛する夫とのセックスで雨音を産んだ母は「正しい愛」という呪いを彼女にかける。そんな母を嫌悪し、完璧な秩序を求めた雨音は、夫とともに実験都市へと移住することになるが……。
『となりの脳世界』
村田沙耶香
朝日新聞出版 1400円(税別)
人の脳の数だけ世界がある。なんて奇妙で、豊かで、素敵なんだろう――。謎の道の消滅、AIりんなとの会話、コンビニエンスストアとの恋。日常のそこかしこに潜む発見と思索を通じて浮かび上がる、村田沙耶香の頭のなかとは。23歳で作家デビューしてから15年、雑誌や新聞に掲載されたエッセイを集めた一冊。
鳥飼茜の本
『マンダリン・ジプシーキャットの籠城』(上・下)
鳥飼 茜 KADOKAWA 各1000円(税別)
11月30日発売予定
舞台は整備された「町」とスラムに分断された世界。生殖は管理され、市井にいるのは女ばかり。スラムで暮らしている佐奈田は鍼灸の技術を持ち、ここで唯一の男・麗峰(男娼)からも信頼されていた。仕事中、誰かに見られているような違和を感じていた麗峰だったが、ある日、企みを持った女が客として現れ、彼を連れ去ってしまう。
『先生の白い噓』(全8巻)
鳥飼 茜
講談社モーニングKC 各607円(税別)
親友の婚約者に処女を奪われて以来、関係を強要されている25歳の高校教師・美鈴。優しいと思っていたバイト先の店長夫人に逆レイプされて以来、女性の体が怖くてたまらない男子高校生・新妻。逃げようと思えばできたはず、では、この苦しみは自業自得なのか? 同じ傷をもつ二人は少しずつ距離を縮めていくが……。
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