消費税、テロとの戦い… 今の生活にも関係している平成の日本を騒がせた事件・ニュース
公開日:2018/12/20
「平成」があと数カ月で幕を閉じようとしている。みなさんにとって平成とはどのような時代だっただろうか。バブルのあとの不景気の時代、身の回りのものごとがさらに便利になった時代、テロリズムの時代、自然災害が多発した時代…振り返ればさまざまなできごとが思いおこされるだろう。
30代後半よりも上の世代ならば、平成に起こったできごとをいろいろと思い出すことができるかもしれない。しかし、20代や10代には、特に平成初期に起こったことについてはほとんど知らないという人も多いのではないだろうか。
そういった若者のために上梓された『10代に語る平成史』(後藤謙次/岩波書店)は、平成の政治・経済・国際情勢などについて明解な文章で書かれており、平成を振り返るのにうってつけだ。本稿では、その内容の一部を紹介したい。
■平成元年度から始まった消費税は悩みのタネ?
2019年10月に10%に引き上げられる予定の消費税。この消費税が日本ではじめて導入されたのが平成元(1989)年4月1日だ。当時は3%だった消費税も段階的に引き上げられ、いまや8%となっている。
さて、この消費税であるが、2度の増税を経て今の税率に設定されており、当然そこには議論が欠かせなかった。そしてその議論の中で、消費税の使い道や増税の開始時期などをうまく設定できなかった政権は次々と倒れていったということも忘れられない。
これからの世代の社会福祉を支えるため、あるいは膨れ上がる国債を少しずつでも返済していくためにも、さらなる消費税の増税は避けられないとの見方が強い。平成年間に行われた消費税に関する議論を無駄にすることなく、どのようにすれば国民が納得のいく税率設定、税金の使い道などを決められるのか、そして実際にそれをどう使っていくのかを国民全体で有効に議論できるような土壌が次なる時代に形成されることを願う。
■冷戦の終わり、テロとの戦いの始まり
平成元年といえば、東西冷戦が終結した年でもある。その年の12月にアメリカ合衆国大統領ブッシュ(父)とソ連共産党書記長ゴルバチョフによって行われたマルタ会談の様子が脳裏に焼き付いている人も多いのではないだろうか。
冷戦が終わり核兵器使用の脅威も過去のものになったかに思えたが、ここから新たな問題が世界中を騒がせることになる。それはテロの脅威だ。それまで冷戦の中で東西どちらかの陣営に取り込まれ押さえつけられていた勢力が、冷戦の終わりとともに陣営から解放され国際社会に大きな影響を与えることになった。それらの勢力の中でも自らの主張を暴力に訴えるものが出てきたのである。
2001年9月11日に発生した同時多発テロでは、アメリカのワールドトレードセンタービルやアメリカ国防総省本庁舎などに旅客機が突っ込んだのはあまりに衝撃的だった。当時のアメリカ合衆国大統領ブッシュ(子)はこれを「21世紀最初の戦争」と呼び、世界中に「テロとの戦い」を呼びかけた。これにより日本も外交政策の大きな転換を迫られることとなったのである。
ここまで平成に入って新たに生じた日本を取り巻く問題を2つ挙げた。どちらも平成初期に立ち現れたものではあるが、いまだにその尾を引いているというのはテレビや新聞などのニュースを見れば明らかだ。
10代、20代のような若い世代に限らず、すべての世代に本書を読んでもらい、平成の日本を騒がせた諸問題を少しでも次の世代に残さないように真剣に向き合ってもらえることを祈る。
文=ムラカミ ハヤト