ありがとう、さや姉…。コミックで思い出す「NMB48・山本彩」というアイドル
更新日:2018/11/26
去る11月4日、惜しまれながらアイドルグループ・NMB48を卒業した「さや姉」こと山本彩さん。さや姉はグループ発足当初からキャプテンでありエースでもある超人気メンバーで、卒業後はシンガーソングライターとして芸能活動を続けると宣言しています。しかし「NMB48の山本彩」にはもう会えないのだと思うと、ファンだって泣いちゃうよ…。
そんな「さや姉ロス」のファンのなかには、筆者のようにNMB48のライブDVDなどでアイドルのさや姉を懐かしんでいる人もいるのでは? そんな皆さんにぜひ手に取っていただきたいのが、『週刊少年マガジン』で連載されていた『AKB49~恋愛禁止条例~』(元麻布ファクトリー:原作、宮島礼吏:漫画/講談社)です。
同作は、女性アイドルグループ・AKB48に、男性の主人公が「みのり」という少女に女装して加入し、ユニット活動や選抜総選挙、国内姉妹グループへの兼任活動を経て、トップアイドルに登り詰めるまでのストーリーを描いたフェイクドキュメンタリー漫画。さや姉はもちろん実在の人気メンバーが多数登場し、48グループや芸能界のウラ側がリアルに描かれ、アイドルファンでなくても楽しめる作品です。
ここで、漫画でもカッコいいさや姉の勇姿を独断でピックアップし、ご紹介します!
●コミックス19巻・168話「恩返し」
冠番組「なんぱち」の打ち切りと、みのりのアイドル活動継続を賭けて、残り8回の放送での視聴率10%超えを目指すことになったメンバーたち。しかし、番組を終わらせようと裏で暗躍する黒幕の手によって立て続けにトラブルに見舞われます。みのりが諦めかけたとき、みのりの腰に拳を当て、さや姉がひと言…。
「砕けんなよ、腰……!!」「女は男より熱いんやろ!!?」
8年間、熱い言葉でグループを牽引してきたさや姉。ライブのMCなどでファンやメンバーを励ましてくれたさや姉の言葉を思い出すようなシーンです。
●コミックス20巻・173話「ナギイチ」
ゴールデンタイムの生放送SPと引き換えに、番組継続とみのりのグループ残留のための条件が生放送の視聴率15%以上の獲得と厳しさを増すも、メンバーたちは笑顔で番組を進行していきます。しかし、生放送の見せ場であるライブパートでまたしても黒幕が邪魔をし、映像が一切映らなくなるトラブルが発生…。そんな危機的状況にうろたえるメンバーへ、さや姉が一喝…!
「恥ずかしい気持ちなんか!」「脱ぎ捨てんかい!!」
さや姉の声に冷静さを取り戻したメンバーたちは暗転中に水着に着替え、NMBの夏曲「ナギイチ」を熱唱。画面がブラックアウトするアクシデントをもともとの演出のように見せかけ、ピンチを一瞬でチャンスに変える、判断力と、リーダーシップ、カッコよすぎます!
●コミックス24巻・208話「アイドル・コロシアム」
32ndシングルの選抜総選挙にて、1位を目指して数々の人気メンバーの順位を抜いていくみのり。総監督・たかみなや、本稿で熱く取り上げているさや姉をも下し、快進撃を続けるみのりですが、ふと、「もうこれ以上、上には行けないのでは…」と不安に襲われます。そんなとき、彼女の背中を押したのは、みのりに破れたばかりのさや姉でした。
「敵にこんなん言うのもしゃくやけど」「笑いーや。あんたの武器やろ?」
敵だろうとエールを送るさや姉。人としての器の大きさを感じるひと言です。さや姉の言葉で見事プレッシャーに打ち勝ったみのりは、はたして1位になれるのか。総選挙の順位発表のシーンは非常に独特な演出で描かれているので、みのりの順位と、独自の演出を、ぜひ皆さんの目でご覧ください。
さや姉は歌もダンスもハイレベルで、トークも芸人並みにおもしろく、まさに非の打ち所がない最高のアイドルでした。しかし、「アイドル・山本彩」の一番の魅力は、常にファンとメンバーを思いやり、キャプテンとしてNMBを背負ってきたその人間性だったのだと、同作を読み返して改めて思いました。
さや姉のカッコよさ、NMBへの「難波愛」が感じられる『AKB49~恋愛禁止条例~』。「さや姉ロス」の皆さん、ぜひ漫画の中のさや姉にも会いに行ってみてください。
文=ますだポム子(清談社)