ニトリと無印良品で、快適な「あこがれの書斎」を構築する!

暮らし

公開日:2018/11/30

『知的生活の設計』
(堀正岳/KADOKAWA)

 研究者でブロガーの堀正岳氏が「現代の知的生活のコツ」を紹介した『知的生活の設計』(KADOKAWA)には、「書斎をどう設計するか」が解説されています。本記事ではそのなかから「ニトリ」と「無印良品」の家具を基本にした書斎設計を紹介します。

 私の場合、趣味とそこから派生した執筆という仕事のために、現在は8畳の部屋に5つの本棚と机を置き、約3000冊の本がいつでも手に取れる空間を整えています。しかし最初からこのような状態ではありませんでした。

 大学生時代、机とセットで購入することで値引きしてもらった最初の本棚と、本の重さにしなるいくつものカラーボックスから私の書斎は始まりました。結婚当初に2つ目の本棚を増やしてすべてを3畳の部屋になんとか押し込み、足元にも本を積みながらやり過ごした時期もあります。

 そしてさらに二度の引越しとともに、ゆるやかに「私が私に還る場所」は広がっていきました。

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 最初から立派な書斎を持っている人はほとんどいません。書斎は「ゆっくりと構築していく」という感覚がいいのです。では、どんな家具・書棚で構築していくとよいでしょうか?
 ここでは「ニトリ」と「無印良品」を紹介しましょう。

●ニトリのオーダーラックで理想のサイズの家具を設計する

 安価でクオリティの高い家具メーカーとして日本で存在感を示しているのは、なんといってもニトリです。安さが注目されがちではあるものの、様々な用途の家具のバリエーションが存在することによって、イケアとはまた違った組み合わせを検討することができます。

 ニトリで書棚のスタンダードとして他と比べるためにまず押さえておくべきなのは、幅89cm、奥行き29cmの「グレン」です。イケアのBILLYと比べると幅が10cmほど大きくなるかわりに縦に二箇所仕切りがあるため使える棚面積はそれだけ狭くなりますが、真ん中の固定棚以外はすべて可動であることを考えると非常に高い柔軟性をもっているのが利点です。

 もう一種類の書棚「サラ」は、幅が39cm、76cm、114cmの3種類が存在し、幅76cmのタイプは中央に仕切りがあるものの、これもグレン同様に真ん中の固定棚以外はすべて可動になっています。また別売りのパーツ(扉・引き出し)があり、用途に合わせてカスタマイズもできます。

 注意したいのは、ここで組み合わせるグレンとサラはそれぞれ181cmと189cmと、多少高さが違う点です。また、上置きユニットはグレン用のみが発売されています。メインの書棚は上置きで天井近くまで本を配置して、サブの本棚は上を物置に利用するといった差別化が必要になるでしょう。

●1cm単位で注文できるオーダーラック

 どうしても書棚の組み合わせがうまくいかない場合に検討したいニトリのサービスに、1cm単位でオーダーすることのできるオーダーラック、オーダーデスク、オーダーコンソールがあります。

 たとえばオーダーラックの場合は25mm厚の本の収納に適したタフタイプのラックも存在し、15~90cmの幅、奥行きも19、31、40、46cmの4種類、高さも281cmまでの10段階と突っ張り棚もあわせて設計することができます。

 このオーダーラックを使えば、たとえば部屋の大きさが正方形で壁の長さをなかなか確保できないかわりに中央にスペースがあるような場合に、奥行きの深いラックを使って本を前後二段に収納するといったことも検討できるようになります。

 オーダーデスクについては幅60cmから180cmまでの範囲で奥行き45、60cmの2種類のデスクを設計できます。たとえばパートナーと二人で机を共有したい場合に、一つの机では狭すぎるので1.5人分の広さのデスクを注文するとシェアしやすいといった、既存の家具の大きさの発想を離れた利用方法が可能になります。

 オーダーコンソールはU字型のカウンターをやはり1cm単位で注文できるサービスですが、これはたとえばベッドの足元部分に設置することによって、寝床の周辺に簡易な机を設置することが可能になります。

●無印良品の薄型収納で廊下の図書館を作る

 無印良品と聞くと、センスのいい小物や収納用品がまず思いつきますので、なかなか書斎における存在感はないかもしれません。イケアやニトリに比べれば相対的に高価ですので、選びにくいという点もあるでしょう。

 しかしさすがは日常の収納について考え尽くしているだけあって、ポイントを決めて導入することで他では実現できないアーカイブを作れる製品が無印良品にはいくつかあります。

 たとえば「オーク材薄型ラック」のシリーズは、奥行きが16cmと22cmで、高さは83cmと175.5cmから選べる、薄型ながら収納力のある組み立て式のラックです。週刊誌などのB5サイズと書籍などのB6サイズがぴったりと収まる奥行きで、たとえば書斎で収納しきれない本を廊下の一部に設置するといった利用方法ができます。組み合わせ次第で高さが調整でき、コーナー棚もあるので、廊下の空きスペースに合わせて活用できます。

 廊下に本を置くのは相当の読書家のように思えるかもしれませんが、書斎を本でいっぱいにするのではなく、あえて一部を外に追い出すタイプの人もいます。家族と共有している本を「廊下の図書館」に置いておくとともに、パーソナルスペースは絶対に必要な本だけを厳選するというスタイルです。

●シェルフと収納家具を利用する

 狭い部屋を有効に活用するために利用できるのが、骨組みだけで構成されているステンレスユニットシェルフです。これを壁沿いに置くのではなく、本棚の前に置いてしまうのです。

 本棚は常にアクセスするわけではありませんので、手前に利用頻度の高い小物をこうしたシェルフで管理し、奥の本棚にアクセスしたいときにはシェルフ越しに手を伸ばすか、シェルフを移動するだけでことが足ります。

 無印良品の収納家具も、本棚のスペースがどうしても足りない場合、物置やベッド下のようなスペースを利用して本やコレクションを保存しておくのに利用できます。

 私の場合、44cm×55cm×高さ18cmのポリプロピレンのクローゼットケースを複数積み、文庫本や新書本を縦に入れて保存することで、クローゼットのなかも本棚として活用しています。

 賃貸住宅にありがちなのは、実際の服の量に比べてクローゼットが大きすぎて書斎スペースを圧迫している場合で、こうすることで空間を有効活用しているわけです。

【著者プロフィール】
堀 正岳
研究者・ブロガー。北極における気候変動を研究するかたわら、ライフハック、IT、文具などをテーマとしたブログ「Lifehacking.jp」を運営。知的生産、仕事術、ソーシャルメディアなどについて著書多数。理学博士。著書に『ライフハック大全』『知的生活の設計』がある。