妊娠しにくい体だったら——妊娠を希望したらすぐ不妊治療をすすめた方がいいケースも…

出産・子育て

公開日:2018/11/30

 女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。

 1年間避妊をせずに適切な頻度で性行為を行っても妊娠しない場合に「不妊症」と診断されますが、不妊治療は必ずしも「不妊症」と診断されてから行うものではありません。

 たとえば、もともと月経不順で排卵していないことが分かっている場合、「そろそろ妊娠したいな」と思ったタイミングで「排卵誘発剤」による不妊治療を開始することもあります。この場合、無排卵であることが明らかなのに、1年間治療をせずに様子を見たりはしません。また、妊娠を目指し始める年齢が40歳以上の場合、「不妊症」の定義を満たしていなくても、妊娠を希望したらすぐに人工授精や体外受精などの不妊治療を開始することもあります。

 どのタイミングで、どのような治療が必要なのかは、不妊期間や婦人科的な病気の有無や年齢によって異なってきます。年齢を含めて「妊娠しにくい要素」がなければ、通常はタイミングをとって1年以内に85%の人が妊娠します。

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 逆に、年齢が高い・内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患がある・月経不順や無排卵である・甲状腺機能異常などの内科的疾患がある、などの何らかの「妊娠しにくい要素」がある場合は、妊娠を希望した段階で、一度婦人科で治療の必要性について相談してみるとよいでしょう。

 自然に妊娠を目指す場合は、「タイミング法」つまり排卵日の2~3日前から排卵日までの期間に合わせて性行為を行うという方法をとります。軽度の月経不順で排卵はあるという場合、漢方治療を併用する場合もあります。

 タイミング法でなかなかうまくいかない場合や、排卵障害や男性不妊など何らかの異常がある場合は、次のような方法で治療を行っていきます。通常は、タイミング法から順にステップアップしていきますが、年齢や状態によってはいきなり体外受精を行うなど、患者さんにあわせて治療を行っていきます。

・排卵誘発法
飲み薬や注射で卵胞(卵子の元)を育てて排卵を促す方法です。排卵日近くに超音波検査で卵胞の育ち具合を確認するので、タイミングをとる時期を特定しやすくなります。排卵障害がある場合や、排卵までに時間がかかる場合などに行う治療です。デメリットとして、薬が効きすぎると卵胞が複数育ってしまい、多胎のリスクが上がったり、卵巣が腫れたりしてしまうことがあります。

・人工授精
精液を洗浄・濃縮して子宮内に注入する方法です。排卵誘発と組み合わせて行うこともあります。女性側の要因として高齢な場合や子宮の手術によって頸管粘液が減ったり頸管が狭くなっている場合、男性側の要因として精子が少なかったり精子の運動率が悪い場合に行う治療です。

・体外受精
卵巣から成熟した卵子を取り出して、体外で受精卵を作り、受精卵を子宮内に戻す方法です。高齢な場合や卵管が閉塞していて自然な受精が困難な場合、不妊期間が長い場合などに行う治療です。

・顕微授精
体外受精のさらに高度な方法で、受精卵を作る際に精子を直接卵子に注入して受精させる方法です。精子が非常に少ない場合や運動率が悪い場合、通常の体外受精ではうまく受精卵が作られない場合に行う治療です。

 どの時期にどのような治療を行った方がいいのかは、年齢やその他の要因によって個人差があります。タイミング指導をしてもらっただけですぐに妊娠したというケースも少なくありませんので、気になるようであれば、まずは一度婦人科で相談してみるとよいでしょう。