「不眠」「イライラ」は更年期とは限らない!? 更年期障害ではなく女性特有の病気の可能性も
公開日:2018/12/4
女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。
更年期とは閉経をはさんで前後10年の時期のことを指します。閉経の平均年齢が50歳ですから、多くの人は45歳~55歳くらいの期間が「更年期」ということになります。更年期という時期は誰もが平等に迎えるものです。
一方、この時期に起こりうるさまざまな心身の不調を「更年期障害」と言いますが、症状の出方は個人差が大きく、ほとんど症状が出ない人から日常生活が送れなくなってしまう場合までさまざまです。
一般的に更年期の時期に起こりうる症状は次のようなものがあります。
・月経不順や不正出血
・ほてりや発汗(ホットフラッシュ)
・頭痛
・肩こり
・めまい
・関節痛
・疲れやすさ
・不眠
・イライラ
・気分の落ち込み
・意欲の低下
早い人は40代になると月経周期が乱れてきたり、月経量が減ったりといった、月経不順の症状が出てくることがあります。多少周期がバラつくとか、出血の期間が短くなるという程度であれば、年齢的な変化として様子を見て問題ありません。周期が20日以下に短くなる、出血期間が10日以上長引くなどの場合は、出血のペースを整えた方がいい場合もありますので婦人科を受診しましょう。
症状が出現する時期はさまざまですが、典型的な更年期の症状が出やすいのは完全に閉経する1~2年前から閉経後1~2年の時期です。この時期が一番、ホルモンの量が急激に変化するからです。月経周期が極端に長くなり始めたなと思ったり、急にほてりや異常な発汗が見られたりした場合は、更年期障害の可能性が高いでしょう。
逆に、不眠やイライラなどの症状は必ずしも更年期が原因とは限りません。まだ更年期という時期ではないのに似た症状が出る、逆に55歳を過ぎてから症状が出てくるケースもあります。
更年期の時期は甲状腺機能異常や膠原病など、他の女性特有の病気も出やすくなる時期ですので、出ている症状が本当に更年期のせい、つまり女性ホルモン不足のせいなのかは症状だけでは判別できない場合もあります。ホルモンバランスを血液検査で確認したり、甲状腺や膠原病の検査をしたり、血圧や血糖値との関係を見て、更年期障害なのかどうかを診断することになります。
更年期という時期は、年齢を重ねれば誰もが迎えることになります。更年期は、女性ホルモンがない状態で今後約30年をどう乗り切るかを考える時期、つまり自分の体との付き合い方や「生き方」が問いただされる時期です。ホルモン剤や漢方で症状を和らげることもできますので、何となくしんどいなと感じたらまずは婦人科で相談してみましょう。