些細なことにヘコむ、人に合わせすぎて疲れる…自己肯定感がドーンと下がったときの対処法

暮らし

公開日:2018/12/5

『自己肯定感がドーンと下がったとき読む本』(古宮昇/すばる舎)

「自分が好きな人」は無敵ではないだろうか? 親友がいる。恋人がいる。年収が多い。好きな仕事をしている等々、「世間的にいいとされているもの」を持っているより、単純に「自分が好き」な方が、人生勝ち組だと思う。自分が好きなら、恋人と別れても、お金がなくても、前向きに生きていけるからだ。

「自分が好き」は、つまり「自己肯定感が高い」ということ。

 だがこれは、どうやって高めればいいのだろうか?

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『自己肯定感がドーンと下がったとき読む本』(古宮昇/すばる舎)は、25年以上のカウンセリング歴を持つ臨床心理士が著した「自己肯定感が下がってしまい、ツライ時に読む」本だ。

 そもそも自己肯定感とは……

(1)一定ではなく、上がったり下がったりするもの
(2)人によって「基本レベル」があり、自己肯定感が高い人は、この「基本レベル」
が高い(低い場合も同じ)。

 間違えがちなのは、自己肯定感は「自分磨き」で高まるというもの。英会話に通ったり、ダイエットしたりしても、「自分のことが嫌いだから取り組んでいる」のなら、効果は薄いとか。自己肯定感を高めるために必要なのは「『○○できるから自分が好き』という条件つきの承認ではなく、自分のことをあるがまま丸ごと愛する無条件の愛」だからだ。

 自己肯定感が低くなってしまう原因は、いくつかある。

(1)自分の感情やホンネにフタをしている
(2)こころの傷つきと怒りがたまっている
(3)成長するための挑戦をしておらず、成長している実感がもてない
(4)自分にとってホンネで大切だと思うことを知り、それを中心に置いて生きる(また、貢献する)、ということができていない。

 これらのことにより、自己肯定感が下がってツライ時。まずできることは、「どんな感情や考えが湧き上がってきても、それを否定しないこと」だという。

 日常のちょっとしたことで、悲しくなってしまったり、誰かに嫉妬したり。そんな時つい、「世の中にはもっと大変な人がいるのに、こんなことで挫けていたら申し訳ない」とか、「自分の努力が足りないだけなのに、相手を嫉妬するなんてみっともない」など、ホンネを押し殺して、自分を説得してしまうことはないだろうか?

 けれど負の感情も含め、自分の想いは素直に受け止めた方がいいそうだ。

 また「自分の価値観」を持つことも重要だ。

 自己肯定感を高めるためには、「自分らしく生きる」ことが大切。「自分らしさ」とは、自分の大切にしていることは何か、その価値観をはっきりさせることからも、見えてくる。

あなたの価値観を大切にして、それを優先させて生きること
そして、あなたの価値観に忠実に生きながら人の役に立つこと
この2つをするとき、人生が意味ある充実したものになります。

 あなたの「好きで大切にしていること」はなんだろうか? 「分からない」という方も多いと思う。

 本書は幼い頃に親から植え付けられた先入観や、「こうすることが正しい」と思い込んでしまっていることではなく、あなたが本当に大切にしていきたい価値観を明らかにするための方法も書かれている。

 また、自己肯定感の「基本レベル」の高低は、育った環境や育てられ方にも起因している場合があるので、本書では「親と子」の関係にも触れられていた。

「自分を好きになれない」。それはとてもツライことだが、多くの人が抱いている悩みでもあるだろう。本書は、その場しのぎではなく、根本的な自己肯定感の高め方を教えてくれている。

文=雨野裾