東村アキコの『偽装不倫』、またもアラサーを共感の嵐に巻き込みまくる!!
更新日:2018/12/10
なにがヤバいって、もうタイトルからしてヤバい。『偽装不倫』っていうタイトル…危険な恋のニオイしかしないんですけど、東村先生!
というわけで、『東京タラレバ娘』(講談社)で、全国のアラサー女を恐怖のどん底に叩き落とし、共感の嵐に巻き込みまくった東村アキコ氏が、またしてもやらかそうとしています。『偽装不倫』(文藝春秋)は、その名の通り、「これは不倫だと偽装して恋しちゃう」というお話なのだ!
主人公の鐘子は、30歳、独身、彼氏なし、実家暮らしの派遣社員。20代後半にさんざん婚活したものの、絶望的にモテないことがわかっただけだった。
なかばヤケクソになった鍾子は、派遣の契約終了でできた休日を使って、“婚活サヨナラパーティー”=韓国への一人旅へ。既婚者の姉から借りたコートを着て出かけたが、空港で飛行機に乗ろうというまさにそのとき、ポケットの中に姉の結婚指輪が入っていることに気がついた。
落とした指輪を拾ってくれたのは、飛行機の隣の席に座っていた韓国人のイケメン。彼は、鍾子が指輪を失くさないよう、指にはめようとしてくれる。
だが鍾子は、彼のあまりの若さとカッコよさに恐れをなして、思ってもみないことを口走ってしまった!
既婚者と勘違いされたまま彼と交流を深める鍾子だが、婚活に疲れた彼女には、純粋な彼の言葉と態度がまっすぐに入ってくる。
ときめきを止められず、フライトのあいだくらいは、人妻になりきって若いイケメンとの会話を楽しもうとする鍾子。ところがイケメンは、飛行機の着陸間際、鍾子の思惑に反してこう言う。「たとえ あなたが誰かの奥さんでも 食事くらいならいいでしょう?」。
そりゃあ言えたら楽になるでしょう、「ほんとは結婚してません」って。そこからイケメンとの恋がはじめられるかもしれないし。でも、言えない鍾子の気持ちも痛いくらいにわかるんです。もし彼が、「既婚者だから」自分にやさしくしてくれるだけだとしたら? 彼の興味が、「私」ではなく「不倫」にあるのだとしたら? 既婚者ではないとバレてしまえば、この甘い時間は終わる。言い出せないのは、傷つきたくないからだ。すでに自分は、この恋に落ちている──。
日韓同時にフルカラー縦スクロールでWEB連載という新しい試みの中で生まれた本作は、もちろん書籍になってもオールカラーの豪華版だ。
最新作でも、アラサー女の心を徹底的にえぐりまくる東村氏。彼女の描くイケメンと禁断の恋にときめけば、恋愛とはサヨナラしたつもりのあなたも、「恋はしない」と“偽装”していた自分に気づくかも!?
文=三田ゆき