そのスーツ、サイズ“ぴったり”ですか?「いくつになっても洋服に自信が持てない」あなたへ
公開日:2018/12/12
「流行に振り回されたくないけれど、時代遅れにもなりたくない」「自分に何が似合うのか、わからない」「ブランドを身に着けていないと不安」「身だしなみに気をつけているのに、今ひとつ決まらない」…そんな悩みをもっているビジネスパーソンは『究極のお洒落はメイド・イン・ジャパンの服』(片瀬平太/光文社)を読んでみてほしい。著者の片瀬平太氏は25年以上もの間、多くの雑誌に寄稿してきた服飾記者だ。本当に良いファッションとはなにか? 著者がたどりついたのは、メイド・イン・ジャパンの服だった。
著者が本書をまとめることになったきっかけは、著者の息子の就職だったという。そのときになってはじめて、これまで数々の外国製の服やブランドを見てきた自分が、日常使いできる本当にいいものに触れてこなかったことに気がついたそうだ。
誰しも一度も買ったことがないモノの良し悪しは判断できない。「人は出会うモノによってその後の価値観も決まる」ため、人生の早い段階で触れるものが大切である。本書では、ビジネススーツ、シャツ、ニット、靴のそれぞれについて著者がよいと思う4つの企業と商品が紹介されている。すべてのアイテムに共通するのは日本製だということだ。ここで著者がスーツ選びの際に設けた「5プラス1」の基準を紹介してみよう。
(1)できる限りサイズがぴったりであること(オーダーできればなおよい)
(2)流行に左右されにくいこと
(3)継続的に買える価格帯であること
(4)使い捨てでなく、手入れしながら長く付き合えること
(5)上品で控えめな佇まいであること
そしてプラス1の基準とは「見識」である。ブランド物を身に着けなくても、サイズをピッタリのものにするだけで「しかるべき人」に見えるというのは、目からウロコと感じる人もいるかもしれない。
価格や流行にとらわれないしっかりとした価値観や美意識を持って服を選ぶことができるのは一部の人に限られているだろう。ファッション業界の記者として圧倒的な数を見続けてきた著者の見識は十分に価値がある。少なくともファッションに疎い一般人にとっては、羅針盤のような役割を果たすのではないかと思われる。
本書の読者の中心は男性になるだろうが、女性も知っていた方がよい知識が満載だ。パートナーや夫、子どもを「それなりの人」に見えるようにコーディネートすることができれば、自分の株も上がるというものだ。本書は日常使いできる本物の服、リアルクローズを選びたいと考えるすべての人におすすめしたい一冊。
文=いづつえり