女子アナの半数以上はミッションスクール卒! 美人が多い意外な理由とは?

社会

公開日:2018/12/8

『ミッションスクールになぜ美人が多いのか』(井上章一、郭 南燕、川村信三/朝日新聞出版)

 上智、青学、同志社、聖心――キリスト教系ミッションスクールに通う女子大生に、なんとなく「美人のお嬢さま」というイメージを持つ人は男女ともに多いだろう。実際、ミッションスクールは「かわいい」「金持ち」「キリスト教」の“3K大学”と呼ばれているという。

 そんなミッションスクールがもつイメージの源泉を解き明かすのが、『ミッションスクールになぜ美人が多いのか』(井上章一、郭 南燕、川村信三/朝日新聞出版)だ。なんともあけすけなタイトルだが、本書にはミッションスクールに美人が多いことを実証的に示すデータがいくつか掲載されている。

■ミッションスクールに美人が多いというのは本当なのか?

 たとえば、読者モデルがブームになった2000年代では、モデルの出身大学トップ10の半数以上がミッションスクールだった。ちなみに、仏教系の大学はトップ10にひとつも入っていない。さらに同じキリスト教系でも、カトリック系よりもプロテスタント系が圧倒的に強い。これはカトリック系のほうが保守的な校風をもつからかもしれない。

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 また、華やかな女性の仕事の代表ともされる女子アナの出身大学を調査すると、ベスト10中6校がミッションスクールという結果が出ている。本書で調査対象となった1268名にも及ぶ女子アナ全体でも、半数近くがミッションスクール出身なのだ。

 日本の私大におけるキリスト教系大学の割合は2割に過ぎない。にもかかわらず、これほど読モや女子アナを多く輩出しているということは、「ミッションスクールには美人が多い」というイメージも、あながち間違っていないといえるだろう。

■美人が集まる背景は、明治初期まで遡る――

 では、なぜ美人が多いのか? 本書では、その問いの答えとなる間接的な証拠をいくつか示している。そこから推測した理由は以下のとおりだ。

 そもそもミッションスクールの多くは、明治期にキリスト教伝道師や宣教師によって創設されたもので、当時のエリート層の子女が通うものだった。そんな歴史的背景から、「ミッションスクール=おしゃれ・ハイカラ・舶来文化」という文化的イメージができあがったのではないか。

 別の言い方をすれば、日本でのキリスト教の受容のされ方は、どこまでいっても表層的でファッション先行の「鹿鳴館(ろくめいかん)型」といえるかもしれない。なにしろキリスト教信者数が全人口の2%を超えたことがないというのに、ミッションスクールは数多く、結婚式は教会でやるのが当たり前、クリスマスは宗教と関係なく皆が楽しむイベントとなっているのだから。

 また、ミッションスクールのそのようなイメージが定着したことで、自分が地味だと思う女子にとっては敷居の高いものとなってしまった。本書にも「たぶん、気後れしてしんどいだろうというのがありました」と、あえてミッションスクールを受験しなかった女子大生の証言が載っている。こうしてルックスに自信のある女子が集まり、美人が多いというイメージと実態が再生産されていると考えられる。

 いかにもゴシップ的なタイトルの本書だが、読み進めるとその背景にある、日本がキリスト教とどう接してきたか、どのように受容してきたかという骨太な議論にゆきあたる。その意味で本書は、ミッションスクールや「美人」の実態や動向を示すだけでなく、大きく日本人について、また宗教について考えるきっかけにもなりそうだ。

文=高坂笑/バーネット