見つけられたら脳が若い!? 世界中で大人気の美しい“探しモノ絵本”が日本初上陸!
公開日:2018/12/9
年に一度のクリスマス。クリスマスツリーがあるおうちでは、飾りつけをするのも大事なイベントです。でも、せっかくの飾りが行方不明になってしまったら? クリスマスツリーをテーマにした探しモノ絵本『アッタとタッタのさがしもの クリスマス』(b.b.クローニン:著、しまおまほ:訳/リトルモア)が登場しました。
作者はアメリカで活躍する有名イラストレーター・b.b.クローニン。本国以外でもヨーロッパやアジアの各国で人気のこのシリーズが、日本語訳されるのは今作が初めて。自身もママである多彩なエッセイストのしまおまほさんが翻訳を手がけ、探しものをする子どもたちを応援してくれるような楽しいストーリーに仕上がっています。
主人公の子どもたち、アッタとタッタはツリーの飾りの手伝いをするために、じいじのところへ。じいじの家は宝物がいっぱいで、飾りが行方不明になってしまったのです。早くしないとクリスマスに間に合わない! 筆者も2歳の息子と一緒に飾りを探してみました。
アッタやタッタが暮らす世界は独特の色使いで、家の屋根の上に大きな人形が乗っかっているなど、おとぎ話のように幻想的。じいじの家の中も、見たことがない動物のぬいぐるみが棚に並んでいる、と思えば、床には小さな動物たちがティーパーティをするようなミクロな世界が広がっていて、とても不思議な雰囲気です。どこに何があっても不思議ではない自由な世界観だから、探しものはタイヘン! 「いっぽんあしのにわとりさん」を探してといわれても、白くて赤いトサカの鳥を探していては見つかりません。棚に飾ってあるとは限らないし、逆さになっていることも。ようやく見つかった時には本当に「アッタ!」という気分です。
大人としては、先入観に塗り固められたカチコチの頭を一度まっさらにする作業が必要で、普段は使わない部分の脳がずいぶん刺激された気がします。だから、こういうのは子どものほうが得意。まずは隅々まで見て…なんていう型にはまったことはせず、しばらく言葉なく絵を見つめたあと、大人がどうしても見つけられなかったものを「ピーピー(鳥のこと)だ!」と発見しています。探しているものとは違うけど、暖炉の中に隠れているらしいウサギの耳、天井の上からこちらを見ている小さな生き物らしきものなど、いたるところにちりばめられた“おもしろそうなもの”を見つけては大興奮。どちらがおもしろいものをたくさん見つけるか、競争するのも楽しそう。子どもの想像力って無限大!
残りの1つがどうしても見つからない、ということが何度もあって、別冊の「答え合わせ表」がおおいに役立ちました。この表は日本語版で初めてつけられ、それが著者に喜ばれて他の国でもつけられるようになったそうですが、ひょっとしたら答えあわせが必要なのは子どもより大人のほうかも。
どのページも一度眺めたら目が離せなくなるほど魅惑的で、特に惹きこまれたのはリビングのページでした。この本の中でリビングは2カ所に登場します。2つ目のほうは、リビングを“はんたいがわ”から見た様子。左ページにあった人形は右ページへ、こちらを向いていたじいじは後ろ向きに。同じ対象を見ているのに、そこにあるものだけが左右入れ替えになっている絵はとっても不思議。息子も「ピンクが同じ!」とピンク色のスタンドライト(もしくはオブジェのようなもの)を指さして、同じような絵だけどちょっと違うことがわかったようです。探しものも、1回目のリビングで見つけたものはなくなり、代わりに新しく見えるものが出てきました。2つのページを見比べながら、間違い探しのようにも遊べます。
探しモノ絵本というと他にもたくさんありますが、この本のようにストーリーに沿って主人公と一緒に探しものができるのはいいですね。次々とページをめくりたくなるような物語は読み返したくなるし、じいじのおとぼけ具合もあったかい。飾りが全部見つかったら、いよいよクリスマスツリーが完成。虹色の鳥やパイプをくわえた人形など、オモチャのようなオーナメントがたくさん飾られた、自由で楽しいクリスマスツリーです。
クリスマスが家族にとって大切な思い出になるように、その手助けをしてくれるような本書。読んだ後は子どもと一緒にツリーの飾り付けをしても楽しそう。絵を眺めているだけでもうれしくなるようなスペシャル感のある大判で、中面はもちろんのこと、ゴールドの帯がついたカバーも美しく、プレゼントにも最適ですよ。
文=吉田有希