靴下をはく時、タクシーの奥の席から降りる時…「疲れない」カラダの使い方

健康・美容

更新日:2018/12/21

『イラストでわかる 疲れないカラダの使い方図鑑』(木野村朱美:著/池田書店)

 高校時代、友人と「疲れやすい同盟」を結成していた。大して動いたわけでもないのに、すぐ疲れる。普通に生活しているだけなのに、疲れてしかたがない。大人になれば体力がつき、自然と改善されるものかと思っていたが、日常の疲れに加え、肩こり、腰痛に悩まされるようになり、わたしの“疲れやすさ指数”は年々高まっている。

 なぜそんなにも疲れるのか? ひとつの答えが書かれている本を見つけた。『イラストでわかる 疲れないカラダの使い方図鑑』(木野村朱美:著/池田書店)。よい姿勢をキープしようとしてクタクタになった経験はないだろうか? 「背筋をピンと張ろう」「4点を壁につけるイメージで」などと意識してしまうと、全体的に後ろに重心が傾いてしまい、その瞬間に背面の筋肉が緊張して疲れてしまう。つまり、筋肉の無駄な力を使っているのだ。本書ではこの力を「無駄力(むだぢから)」と呼び、日常のあらゆるシーンで無駄力を使わないカラダの動かし方を紹介している。

 例えば、「靴下をはく」動作。腰が必要以上に曲がっていて、背中の筋肉が緊張している。……ハイ! これ、無駄力! バランスをとろうとするあまり、足裏で踏ん張っている。……ハイ! これ、無駄力! 軸足と頭のバランスが悪く不安定。……ハイ! これ、無駄力! 靴下をはくというありふれた動作ひとつとっても、3つも無駄力を使っていることになる。

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 これを改善するためのステップは、たったの2つ。「1、軸足を決める(先に軸足に頭をのせるイメージを作る、足裏で踏ん張らない)」「2、腰を曲げずしならせるイメージ(腰を必要以上に曲げない、ひざの力を抜いて遊ばせておく)」。靴下をはこうとすると、頭で靴下を迎えにいってしまうのが不安定の原因。まずは座骨に頭をふんわりのせるイメージをつくり、さらに軸足を決めてそこに頭の重心をあわせる。必要な分だけ腰をしならせれば靴下に手は届くので、よりバランスが安定しやすくなるという。

 盲点だったが、「タクシーの奥の席から降りる」動作も、じつは疲れる。天井を気にしながら座ったまま移動し、さらに床の真ん中の起伏をまたがないといけない。カラダを縮こませ、関節が圧迫された状態での移動はとても負担が大きいと著者は言う。改善するためのステップは、こちらも2つ。「1、足→座骨の順にツイスト動作で出口寄りの席に移動」「2、座骨を下りる方向に向けて先に足を下ろす」。ポイントは、ツイスト動作からの、お尻スライドだ。

 本書には他にも、「ドライヤーで髪を乾かす」「寝る姿勢がハマらない」「浴槽をまたぐ」など、そう言えば疲れるよなあ! という動作について、徹底解説。かゆいところに手が届くとは、まさにこのこと。シュールなイラスト付きで、笑えてためになる。疲れやすい人々のバイブルになるかもしれない一冊だ。

文=水野シンパシー