“単純に笑える”と羽田圭介が選出した3作品は? 「サッポロ 冬物語」川柳コンテスト優秀賞発表![PR]
公開日:2018/12/17
サッポロビールの冬季限定銘柄「冬物語」の発売30周年を記念して行われた、「私の冬物語」川柳コンテスト。10月25日のキャンペーン開始から応募総数は10,398作品、その結果が発表された。
審査員を務めたのは、『スクラップ・アンド・ビルド』で第153 回芥川賞を受賞した小説家の羽田圭介さん。応募作品全体をとおしての総評も寄せてくれた。
[羽田総評]
全体的に、冬の景色と人間関係をそのまま組み合わせただけの、ホッコリを強要してくる句ばかりであった。その文章を通すことで、凡庸な風景が違ったふうに見えるようになるような、批評性が大事だ。ある種の違和感がもたらされる場合が多く、“ホッコリ”とは親和性が低い。入賞作に関し、何も表現していない“ホッコリ”よりは、単純に笑える句を選んだ。
評価のポイントを明確にしつつも、羽田さんらしいシニカルさ・クールさが感じられる総評に。そして、優秀賞に選ばれた3作は以下のとおり。羽田さんのコメントとあわせて紹介しよう。
【受話器越し 「あ、雪」と君 窓覗く】(作:にじのいろ)
聴覚の情報からいきなり視覚的情報へ切り替わるあたりに、時間の経過と風景の立体感が感じられる。
【窓のぞく 僕も飲みたい 雪だるま】(作:もみじ)
作者はおそらくストレートに、雪だるま側の視点に立ち牧歌的な句を詠んだのだと思う。しかしながら、家の中にいる「ぼく」を自称する男が、窓の外にある雪だるまを「飲みたい」と感じているようにもとれる。結果的にその妙なグロテスクさが、異質な雪景色の句として光った。
【あと何年 息子と交わす 晩酌は】(作:ポキ星人)
今回、成人した子供とビールが飲めて嬉しい、という内容の句が一〇句くらいあったのだが、〈あと何年息子と交わす晩酌は〉のみ、一味違った。子供と酒が飲めるという喜びの先にある、子の成長による親離れ、そして老いてゆく自分自身の終末にも思いが巡らされている。ひょっとしたら、子供と晩酌できる時を待ち望んでいるだけの単純な句かもしれない。しかしこちらの捉え間違いであっても、読み方に多様性をもたせられている。
優秀賞を受賞した3名には、「サッポロ 冬物語」“ひと冬分”(350ml缶4ケース)と“選べる鍋グルメ券”(5000円相当)が贈られる。ほかにも、入賞作品が「冬物語」の公式サイトで発表されたので、そちらもチェックしてみよう!!