日本人の「頑張っているアピール」にイラッ! 外国人の本音は……
公開日:2018/12/21
「外国人が日本に注目し、スゴイ国だと絶賛している」といった内容のテレビ番組を目にしたことがある人は少なくないだろう。日本の社会や文化、あるいは技術や製品に外国人が感嘆の声を上げる……。それを日本人が見れば、嬉しい光景であり、誇りを感じたりするものかもしれない。だが、海外における日本の評判というのは、こうした番組とはまるで違っているという。多くの外国人は、日本のことを「おかしくて奇妙で理解不能な国」だと思っているのだ。
『世界でバカにされる日本人 ―今すぐ知っておきたい本当のこと ―』(谷本真由美/ワニブックス)では、外国人が日本に向けている視線について赤裸々に記されている。たとえば、日本が世界に発信しようとしている「クールジャパン」だが、「幼女・少女を性的対象にする」ものと感じる人が少なくない。明らかに成年していないと思われる容姿のキャラクターが、極端に短いスカートを穿いているイラストなどを成年男性が購入していく姿は、外国人からすれば珍妙どころか恐ろしさを覚えるというのだ。
文化の面だけではない。日本人の働き方は外国人からすると不合理にしか思えないものが多い。「日本人の真面目さは評価されている」といわれることもあるが、実際には「頑張っているアピールばかりする」日本人に、憤りを覚える外国人ビジネスマンも多いのだ。あらかじめメールなどで確認できる事項を連絡せずダラダラと時間ばかりを浪費する会議が続いたり、体調が思わしくないにもかかわらず無理に仕事をしようとして、自分が苦しいばかりか周りの迷惑になったりする。合理的に考えれば、会議はさっさと終わらせ調子が悪ければ十分に休養を取るべきだ。そうした判断ができないのだろうかと、外国人は首を傾げてしまう。
だが、何よりも外国人がバカにしているのは日本人の精神性だという。自分の意見をハッキリと言わずに本音と建前を使い分けたり、「おもてなし」と称して過剰なサービスで客の自由を奪ったり、「謙遜」の意味で自分の家族や会社の悪口を言ったりする。外国人からすれば、「意見が言えないのは自信がないから」「サービス提供のために監視されているようだ」「気に入らない環境に身を置き続けるのは能力不足の証」と、とにかく悪い印象ばかりが付いて回るばかりである。日本人としての美意識は、外国人から感心されるどころか、まったく違った受け止められ方をすることを理解するべきだろう。
本書は、決して日本を貶めるために書かれているものではない。むしろ、日本には外国から評価を受けるものもあることを教えてくれる。具体例としては日本の映画、それも黒澤明監督作品や「仁義なき戦い」などが高い評価を得ているという。また、漫画やアニメも大きな人気を博していて、漫画家やアニメ制作者が有名になる場合も多い。さらに、日本の教育水準や低所得労働者の学習意欲の高さなども、海外からは驚かれるものだ。日本人の多くが気にも留めていないものほど、むしろ海外から注目されるというギャップが存在している。
そもそも、本書の第5章で語られるように、世界では「自国以外の国をバカにする」のは一般的である。遠くの異国への偏見だけではなく、隣国に対する辛辣なブラックジョークも日常的に聞くことができる。知らないものは忌避され、知っているならコキおろすのが普通なのだ。そんななかで、日本ばかりが世界中から褒め称えられるなどあるわけがない。大事なのは、他国を差別的に扱うのが標準的になっているグローバル世界で、意味もなく驕らないことだ。日本には世界から感心されるものも、人気を集めるものもたくさんある。だから、そうでないものまで無理に持ち上げる必要はない。海外からの視線を冷静に受け止めてこそ、本当の意味で「誇りある日本人」になれる。そのための最初の「気づき」を与えてくれる本書は、正しい日本の姿を知る助けになるだろう。
文=方山敏彦