【夫婦のお悩み相談】スネる夫と子ども優先妻、ウソ下手な夫と察しのいい妻――その会話、何が正解?

暮らし

更新日:2018/12/21

――自分がやったことに口出しされるとカチンとくることも、夫婦間ではよくあるケースです。特に料理はケンカの火種になることも多いようで、以下のような相談がきました。

●料理評論家ぶる夫、イラッとする妻

私は、魚料理が苦手。特に煮付けは味付けで失敗したり、煮崩れて残念な仕上がりになったりすることが多いんです。でもある日、とても美味しくサバの味噌煮が出来たことがあって、主人も喜んでくれるかなと思っていたら「いつもよりはいいんじゃない?」。そして、「A子が作る肉料理は悪くないんだけど魚はね……。いつもこれくらいならいいなぁ」と。
私は内心「おまえは、料理評論家か? 肉料理だってしっかりおかわりまでするくせに悪くないって……。何様??」とカチンときました。自分は簡単な料理も作れないのに上から目線で言われるとイラッとします。本人は褒めているつもりでしょうが誰かと比べられている感じがするのもイヤです。(30代女性A)

五百田達成氏(以下、五百田)こういう場合、一生魚料理は作らない、というぐらい割り切ってもいいですよね。そのほうがお互いハッピーかもしれません。ただ、料理に限らず誰でも苦手なことはありますから、ひとつ覚えておいてほしいのは、結果に対する感想や意見よりも努力した過程を認める言葉が大切だということです。

 この奥さんも、苦手な魚料理を頑張ったことに対するコメントが何もないことに怒っているんです。自分でも、いくらサバの味噌煮がよくできたといってもお店ほどじゃないかも、というのも自覚しているかもしれない。それでも彼女なりに頑張って作ったわけです。その努力には一切触れず、上から目線で「まあ、及第点じゃない」みたいなことを言われると、誰でもカチンときますよね。だからまずは「すごいじゃん、よく頑張ったね!」とその過程を褒めたうえで、「しょうががもう少し効いてたらバッチリかもね」とかプラスアルファの感想を言うのであれば、許容範囲だと思います。

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 料理を作る人と食べる人って、どうしても料理人とお客さんみたいな関係になっちゃうんですよね。食べさせてもらっている人は、それだけでありがたい立場なのに、ついついああだこうだ評価したがる。特に男性は、女性がいろいろ考えて真心込めて作った料理だというところまで想像できないので、言葉には気をつけたほうがいいです。自分では料理しない夫が文句ばかり言うのであれば、妻も「じゃあ自分で作ったら?」と言い返してもいいと思いますよ。もしくは、もう夫の食事は一生作らないと決めて、買ってきたものを食べさせるとか。そこまでしないと、男って自分がどういうことをしたのかわかりませんから。

――男性がそこまで鈍感な生き物だったとは……。次は、“かまってちゃん夫”についての相談です。

●すねる夫、子ども優先の妻

ヤンチャ盛りの3歳の子どもがいます。なかなか言うことを聞かないので手こずっていると、「じゃあ◯◯したらお菓子買ってあげるよ」と横から夫。虫歯も気になるしモノで釣りたくないので思わず、「そういうのやめて」と言うと、「いつもそうやってオレを厄介者にする」とすねてしまいました。こっちも子どもとのやりとりに必死なので、気遣いできなかったのですが、こんなときはなんと言うべきでしょうか?(30代女性)

五百田 この男性は、子どもにお菓子をあげて責められたことよりも、自分が厄介者扱いされていることに不満があるんですよね。女性は子どもを産むと「母親」の要素が強くなります。でも男は子どもが生まれても「父親」になるのではなく、自分も「子ども」になってしまう。ところが自分に優しかった妻は母親になって、子どもの世話ばかりしているから拗ねてしまうわけです。中には幼児退行する男性もいて、これは結構、根が深い話なので一朝一夕に解決できる問題じゃありません。

 ただ僕も男なので、一応夫をフォローすると、夫婦は親子よりも長く付き合い続ける関係ですからね。子どもはそのうち巣立っていきますが、夫とはその後何十年も一緒にいなくちゃいけない。家庭を会社にたとえると夫は大株主なので、たまには優待して夫だけの時間を作ってあげることも必要でしょう。長い夫婦生活を維持していくために、お仕事として割り切って構ってあげたほうがいいとも思うのですが。ただ、『話し方で損する人 得する人』にも書きましたが、夫のほうも構ってほしいときは思わせぶりに他の態度で示すのではなく、ストレートに言ったほうがいいです。

――子育て中のママは家事、育児、仕事で本当に大変なので、もっと積極的にいろいろ手伝ってほしいという思いもあるんですよね。「自分の子どもが泣きわめいているのに、あやそうともしない」「言わないと何もやってくれない」といった、ママ友たちの旦那さんに対する不満もよく耳にします。

五百田 残念ながら多くの男性は子どもが泣いていても「泣いているなぁ」って思うだけで、泣き止ませようなんていう気が回らない(笑)。だから、夫は大きな長男だと思ったほうがいいです。子どもより子どもっぽい、末っ子みたいな男性も結構いますからね。父性がある人もいるかもしれませんけど、母性とは比べものになりません。男性が思い描く理想の家族像なんて、息子が生まれたらキャッチボールするとか、娘が生まれたら「嫁に行くときは泣くだろうな」と思う程度の幻想しかありません。そのぐらい男と女は違う生き物なのです。

 男性も、子どもに手がかかるうちは、妻ではなく母になったのだと割り切って我慢するしかありません。自分もがんばって「父親」を演じましょう。なかには経済的にも精神的にもかなり余裕があって、妻も母も女も演じるスーパーウーマンもいるかもしれません。でもそれはレアケース。今は働く女性が多い時代なので、夫に構うどころか「もっと手伝って」と要求するのは当たり前のことですから。

――では次、妻の誕生日を忘れていた夫の失態についての相談です。

●ウソがヘタな夫、察しのいい妻

妻の誕生日を忘れていたことがありました。妻は、私が忘れていると気づいていたようですが、あえて何も言い出さずにいました。妻の誕生日を思い出したのは誕生日当日。しかも夕方の、家族でスーパーに買い物に向かう車の中。焦った私が「今日、お誕生日だからどこかで食べようか」とその場しのぎに言ったことで、車内は戦場に変わりました。何から伝えれば良かったのでしょうか。(30代男性)

五百田 この男性は、そもそも妻の誕生日を祝おうという気持ちが欠けている時点でダメですね。奥さんの気持ちを考えていないので、場当たり的に「どこかで食べようか」と対処しているのもよくない。こういう場合は、まず相手の気持ちに寄り添うことが大事です。そして正直に、うっかり誕生日を忘れていたことを謝ること。食事にさそう話をするのは、その後です。相手に寄り添って、気持ちを伝えて、解決策を示す。このように共感からはじめる話し方は、女性と会話するときの基本構図です。

――ということは、次の体調が悪い妻に早く寝るように言った男性の相談も、同じパターンですね。

●気持ちが伝わらない夫、「指示」はいらない妻

仕事から帰宅すると、妻が体調が良くないというので、「(家事は自分がやるから)寝室で寝ておいでよ」と声をかけると、「私が本当に体調悪いのわかってる?」と返ってきました。わかっているからこそ、寝ておいでと言ったのですが、心配する気持ちがうまく伝わらなかったようです。むしろ「寝てこい」と決めつけられたようで不愉快とまで言われて困りました。なんて言うのが正解だったのでしょうか?(40代男性)

五百田 これもやはり先ほどのケースと同じです。先に寝てと言う前に、「大丈夫? 心配だよ」とか、「体調悪いと大変だよね、無理しないで」とか、気持ちを伝えないと、ただ指示しているだけになりますから。「最近、仕事が忙しいって言ってたもんね。心配してたよ」と言うと「そうなのよ!」と、妻もわかってくれてるんだなと思うでしょう。それから「早く寝たほうがいい」と言われれば、「ありがとう。じゃあ先に寝るね」と素直になれる。相手にためによかれと思ったことも、そうやって気持ちを先に伝えなければ、女性には納得してもらえません。

――感情を伝えるのが苦手な男性にとっては、耳が痛い話かもしれません(笑)。最後に、夫に家事や育児を気持ちよくやってもらう秘訣は何かありますか?

五百田 男性は、全面的に任されるとやる気になる可能性が高いです。人の手伝いをすることは苦手ですけど、丸投げされると責任を感じて頑張るので。そもそも何をやればいいかわからない男性もいるので、家事や育児のルールを決めてタスクにするのもオススメです。だらしないとか、片づけないとか、夫自身の生活態度に不満があるときも、感情論でバトルするのではなく、我が家のルールとして覚えてもらう。新入社員の部下に教えるつもりで、ルールを守ったらきちんとほめるとか、ご褒美をあげるとか、達成感を200回ぐらい経験させてあげると、言わなくてもやってくれるようになると思います。自分が上司で夫は新入社員だと思えば、妻もギリギリ腹が立たないんじゃないでしょうか。

――200回ですか……。自分でやったほうが早いかも(笑)。

五百田 僕に言わせれば、男性と女性が何十年も一緒に生活するなんて、よくそんな無茶なことをしてるなぁと思います。だって、男と女ってまったく合わないですから。それでも子どもがいない夫婦は、妻が夫のことだけ構っているので仲がいいケースが多いんです。でも子どもがいたらそうはいきません。それがわかっているかどうかで、対策が変わってきますよね。女性が男性を自分と同じ人間だと思って、自分と同じレベルを期待して向きあおうとすればするほど、男は逃げたがります。なぜなら自分が変わるのではなく、妻に変わってほしいから。だから、お互いいったんあきらめて、わかりあえないんだっていう前提で対策を考えるほうが現実的ですよ。

取材・文=樺山美夏

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